事例・戦略

YouTuberハンク・グリーンが子供向け有料アプリClockwiseTV開始、広告なし手動キュレーションで挑む

  • YouTuberのハンク・グリーンが8〜12歳向けのSTEAM動画アプリClockwiseTVを開始しました。
  • 広告や自動再生を排した有料制で、YouTubeのアルゴリズムに不安を感じる家庭を取り込む試みです。
  • 子供向け動画を作っている運営者には、チャンネルとは別の配信先と収益源の可能性として重要です。
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何が起きたか

ハンク・グリーンさんが、子供向けSTEAM動画アプリ「ClockwiseTV」を立ち上げました。
対象は8〜12歳で、科学・技術・工学・芸術・数学の動画を専門に配信します。

彼は弟のジョンと共同で運営してきた非営利団体Complexlyを長年手がけてきた人物です。
その教育系コンテンツの経験を活かし、今回のアプリには Green本人やComplexlyのほか、MinutePhysics、Odd Animal Specimens、Evan and Katelynなど複数のクリエイターが参加します。

Tubefilterの記事によると、ClockwiseTVはApple・Androidのタブレット向け有料アプリとして提供され、広告も自動再生もエンドレスのフィードもありません。
保護者が視聴セッションの長さを設定できるようになっており、時間になるとアプリが自動的に閉じます。

「家族のコントロールを取り戻す」というコンセプトです。
プレスリリースでは、YouTubeやTikTokのようなSNS系動画プラットフォームが抱えるドゥームスクローリング(際限のない没入スクロール)や子供のプライバシー問題を回避したい、と説明しています。

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なぜこのアプリなのか

ハンク・グリーンさんは、自身に9歳の息子がいることを挙げて、次のように話しています。

私はYouTuberだから、YouTubeを見せることに抵抗はない。
動画を見ることは子供にとってまったく問題ない。
ただ、お互いに気持ちよく過ごせる見せ方をしたいし、余計な衝突を生みたくない。
時間になるとアプリが静かに終わって、息子が片づけて日常に戻る。
それは魔法のように感じる。

CEOのレスリー・モーガンさんも、8〜12歳は従来の子供向けアプリにはもう大きく、かといって主流の動画プラットフォームの予測不可能さに対応できる年齢でもない、と話します。
「子供が好きなものを見ているときも、ずっと肩越しに監視しなくていい場所が欲しかった」というのが動機とのこと。

配信される動画は、クリエイター側が「重労働」をしなくて済む仕組みです。
ClockwiseTVが既存の動画カタログを視聴者層向けに再編集し、アプリ側にアップロードします。

収益の仕組みと不明点

ClockwiseTVはなぜ有料なのか。
公式サイトでは「無料の動画プラットフォームは広告収入のために子供を画面に張り付かせる攻撃的なアルゴリズムを使うが、私たちは広告を売らず、データも追跡しない」と説明しています。
会員費がスクリーンタイム管理ツールの開発費と、すべての動画を人間が目視レビューするための人件費にあてられる、というのがその理念です。

途中参加するクリエイターに収益が配分されるかどうかは、現時点では明らかにされていません。
配信側で再編集・アップロードまで請け負う形なので、出演者側は制作だけで済む半面、収益をどう分け合うのかは別途契約が必要になります。

現在は早期アクセス中で、初年度39.99ドル(約6,400円・1ドル160円換算)の「Founding Families」会員に申し込める状態です。

自分のチャンネルにどう影響するか

子供向け動画チャンネルを運営している人にとって、このアプリは2つの見方でヒントになります。

1つは配信先の選択肢です。
YouTubeは世界最大のプラットフォームですが、子供と保護者に対しては「便利である一方、のめり込みを心配する声がある」のも事実です。
広告を売らず、見る時間を制限し、人間の目で内容を確認するという明確な差別化でその不安を拾うビジネスは、これからも増えるはずです。

もう1つは自社チャンネルの運用整理です。
もしあなたが教育系や子ども向けの動画を作っているなら、既存動画をターゲット年齢向けに再編集するだけでも別プロダクトになり得る、という点は押さえておいて損はありません。
ClockwiseTVは「クリエイターは日常の投稿に集中し、再編集や配信は任せられる」を売りにしています。

動画を外注先に渡す場合、あらかじめ利用条件を決めておくとあとで困りません。
このアプリではクリエイターへの収益配分が明らかにされておらず、既存動画の別プラットフォームでの再利用を許すかどうかは、契約前に必ず確認しておきたいところです。

また、視聴時間を保護者が設定できる設計は、YouTube側にもすでにある時間制限機能のこうした使われ方を意識させます。
もしあなたが子ども向けにチャンネルを作っているなら、動画の最後の推奨や関連動画でどんどん次へ誘導する作りではなく、「今日はここで終わり」と自然に区切りがつく整え方も、新たな視聴者層に響く可能性があります。

※円換算は1ドル=160円(2026年8月時点の目安)です。

出典

  1. Hank Green says he wants to “put families back in control” with new kids’ STEAM content app ClockwiseTVTubefilter

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