法務・判例

YouTube Premiumの「広告なし」表記、カナダで集団訴訟 案件広告は対象外なのか

  • カナダのPremium購読者が、動画内のクリエイター案件も広告にあたるとして集団訴訟を起こしました。GoogleやYouTubeが被告です。
  • 「広告なし」の定義が問われ、結果次第では日本を含むPremiumの説明文や料金体系に変更が及ぶ可能性があります。
  • Premiumに登録している視聴者と、企業案件で収益を得ているYouTuberが影響を受けます。
画像はイメージです

カナダの購読者3人が集団訴訟を提起

8月21日、ブリティッシュコロンビア州最高裁判所に、YouTube Premiumの「広告なし」という宣伝をめぐる集団訴訟が起こされました (Dexerto)。
原告はカナダ人のPremium購読者3人で、2021年から2025年の間に登録したとされています。
被告はGoogle LLC、Google Canada Corporation、YouTube LLCです。

原告が問題にしているのは、Premium契約で「広告なし」とされる一方、動画内でクリエイターが実施する企業案件(スポンサーシップ)が広告として除去されない点です。
原告は「広告の出所と配信方法が変わっただけで、購読者が経験する商業的な中断はほぼ同じだ」と主張しています。

加えて、近年このようなクリエイター埋め込み型のプロモーションが増えたことで、Premiumの価値が下がっているとも訴えています。
請求内容は、支払った購読料の返還と、「広告なし」と宣伝する際に、動画内プロモーションが含まれる可能性を明確に開示することの命令です。

画像はイメージです

スポンサーシップをめぐる米国での先行訴訟

今回の訴えは、7月にアメリカ・カリフォルニアで起こされた同種の集団訴訟に続くものです。
カリフォルニアの訴訟では、人気クリエイターのTheo Von氏やKallmekris氏、Markiplier氏らの動画内で流れるスポンサー付きのセグメントが問題視されました。
YouTubeのヘルプセンターには、Premium購読者でもクリエイターによるブランディングやプロモーションが表示される可能性があると記載されています。
しかし、両訴訟とも、登録時にその説明が十分なされていないと指摘します。

なお、この問題は、YouTubeが配信する通常の広告とは別です。
YouTubeは以前、Premiumユーザーに通常の広告が表示されたとの報告を調査し、「有料購読者には表示されないはずだ」と説明しています。
あくまで争点になっているのは、クリエイター自身が動画内に組み込むタイアップ広告の扱いです。

値上げ直後に訴訟が重なる事情

この訴訟は、YouTubeが米国でPremiumの料金を値上げした直後に起こされています。
現在、個人プランは月額15.99ドル(約2560円)、ファミリープランは26.99ドル(約4320円)です。
また、8月にはヨーロッパとアジアの一部でも値上げが行われ、プランによっては最大で約17%上昇しています。

日本のチャンネル運営に及ぶ影響

この訴訟はカナダ国内の話ですが、YouTubeのポリシーや表示は世界共通で運用されることが多く、判決や和解の内容によっては、日本向けのPremium販売ページの表現が変わる可能性があります。
「広告なし」の定義があいまいだと指摘されたことで、YouTubeが説明文を充実させたり、クリエイター側により明確な開示を求めたりする流れも考えられます。

日本のクリエイターにとっては、自分が動画に入れている企業案件が「広告」と見なされるかどうかが、今後より明確になるかもしれません。
現時点でYouTubeが公式に方針を変えたわけではありませんが、裁判の行方は注視しておく価値があります。

※円換算は1ドル=160円(2026年8月時点の目安)です。

自分のチャンネルにどう影響するか

まず確認したいのは、自分がどちら側かです。
Premiumの視聴者であり、同時に企業案件を動画に入れる側でもあるなら、この訴訟の論点は他人事ではありません。

  1. 動画内のプロモーションをどう表示するか、今のうちに方針を固めておきましょう。
    今回の訴訟の行方にかかわらず、企業案件を含む動画は、冒頭や概要欄で「プロモーション」と明示するのが視聴者への誠実さにつながります。
    日本の景品表示法でも求められる開示ですが、YouTube側が今後さらに厳しく求める可能性もあります。

  2. Premiumの説明文が変更される可能性に備えましょう。
    もしYouTubeが「広告なし」の表現を変更したり、動画内プロモーションに関する説明を追加した場合、それがそのまま視聴者との約束事になります。
    クリエイター側は、案件を含む動画と含まない動画を、サムネイルやタイトルで見分けやすくしておくと、混乱を避けられます。

  3. 値上げに伴う視聴者の不満を意識しておきましょう。
    今回の訴訟は値上げ直後に起こりました。
    日本でもPremiumの価格改定があれば、同様の不満が高まる可能性があります。
    その際、自分のチャンネルで「広告なし」と誤解されるような表現をしていないか、今のうちに確認しておくと安心です。

出典

  1. YouTube faces second class action lawsuit over ‘ad-free’ Premium claims & sponsored contentDexerto

コメント

まだコメントはありません。最初の1件をどうぞ。

投稿された内容とお名前はこのページに公開されます。個人情報や、他の方を傷つける内容は書かないでください。 URLを含むコメントは投稿できません。内容によっては予告なく削除することがあります。