MrBeastの新作は制作費16億円、30秒の企業案件は4億円の値付け
- MrBeastが制作費1000万ドル(約16億円)の過去最大の動画を公開します。メディア部門は3年連続の赤字で、利益を出しているのは自社商品のほうです。数字で見る収益の作り方を追います。
- 動画そのものは利益を出さず、企業案件と自社ブランドで回収する構図が数字で見えます。案件の単価が登録者数に連動することも法廷文書の価格から読み取れます。
- 収益の柱を動画広告に置いているチャンネル運営者に効き、企業案件の値付けを見直すときの材料にもなります。

MrBeastの新作、制作費1000万ドル(約16億円)
米国のクリエイター、Jimmy Donaldson(MrBeast)が9月16日、Xに「これまでで最大のYouTube動画を今週土曜に公開する」と投稿しました(Net Influencer)。
制作に約1000万ドル(約16億円)をかけ、本人が動画に費やした時間は1000時間を超えます。
企画は数年がかりです。
動画の中身や形式、関わった企業は明かされていません。
公開日も現地の土曜日とだけ書かれ、具体的な日付は原文に明記されていません。
同じ投稿で本人は、そんなに伸びないだろうという見方も添えています。
情熱が伝わればいいという趣旨の一文があり、過去最大の投資が過去最大の結果になるとは考えていないことがうかがえます。

メディア部門は3年連続赤字、利益を出したのはチョコレート
Beast Industriesのメディア部門は、YouTubeチャンネルとテレビ制作を合わせて2024年に約2億5000万ドル(約400億円)を売り上げ、約8000万ドル(約128億円)の純損失を出しました。
3年連続の赤字です。
同じ時期、チョコレートブランドのFeastablesは同程度の売上で2000万ドル(約32億円)を超える利益を出し、メディア部門の穴を一部埋めています。
制作費がそのまま戻らない例は、Amazon Prime向けの番組「Beast Games」にはっきり出ています。
10話で1億ドル(約160億円)を超え、賞金は500万ドル(約8億円)から1000万ドル(約16億円)に引き上げられました。
本人はポッドキャスト「The Diary of a CEO」でこの番組に触れ、こう話しています。
金銭的な判断としては良いものではなかった。
損をした。
撮らなければもっと持っていた。
Beast IndustriesのCEO、Jeff Housenboldは、この支出を計算違いではなく意図した戦略だとFortuneに説明しています。
社会貢献と大規模な制作を視聴者を増やす道具として使い、両方を成り立たせられるかを自社に問うている、という趣旨です。
同社は資金調達で約50億ドル(約8000億円)の評価額を求めているとBloombergが報じています。
30〜45秒の企業案件が約4億円、登録者が半分だった時点
チャンネルがどこで稼いでいるかは、元のビジネスパートナーとの訴訟で提出された法廷文書から見えます。
Business Insiderが報じた内容によると、2024年初め、登録者数が今のおよそ半分だった時点で、メインチャンネルの30〜45秒の企業案件は約250万ドル(約4億円)でした。
メインチャンネルの広告とセットにしたTikTokまたはYouTube Shortsの動画には、さらに50万ドル(約8,000万円)が上乗せされます。
取締役会の資料には、2025年に向けて9100万ドル(約146億円)の企業案件を契約済みだったことも書かれています。
内訳にはT-Mobileの1500万ドル(約24億円)、Amazonの1250万ドル(約20億円)が含まれていました。
この価格は、登録者が今の半分だった時点のものです。
チャンネルが大きくなるほど案件の単価も上がる、という関係が数字で残っています。
メイン動画と縦型を組にすると単価が上がる形も、規模を問わずまねできる部分です。
登録者5億人、視聴者の6割が24歳以下
Donaldsonは2026年6月、個人のクリエイターとして初めてYouTubeの登録者5億人に到達しました。
2025年だけで1億1700万人増えています。
1日あたりに直すと約32万人が新しく登録した計算です。
プラットフォーム史上、1年間で最も多い増え方だと、ファン運営の分析アカウントMrBeast Statisticsが公表したデータにもとづいて原文は書いています。
視聴者は13〜17歳が約2億人、18〜24歳が約1億人です。
5億人の6割にあたる3億人が24歳以下になります。
Googleは9月2日、GeminiとGoogle Healthにまたがる複数年の契約をDonaldsonと結びました。
スタント動画を軸にした新しいGeminiの広告キャンペーンの顔に起用しています。
大型企画が伸び続けるか、研究者は天井を指摘
ペンシルベニア州立大学でクリエイターの経済圏を研究するBill Zimmerman教授はFortuneに、Donaldsonの成長はいずれ天井に当たるかもしれないと話しています。
体を極限まで追い込む形式の企画を挙げ、非常によく見られる内容ではあるものの、再生数を稼ぐ大きな動画は誰かが限界を押し上げるのをのぞき見るような構図になっている、という指摘です。
土曜に公開される動画が1000万ドル(約16億円)の支出に対してどう働くかは、公開後の数字を見ないと分かりません。
金額の桁は日本のチャンネルとかけ離れています。
それでも、動画そのものでは儲けず、企業案件と自社商品に人を流す入口として設計している形は、規模に関係なく取り入れられます。
※円換算は1ドル=160円(2026年8月時点の目安)です。
自分のチャンネルにどう影響するか
1000万ドル(約16億円)の動画は金額の桁が違いますが、この記事から抜き出せるのは支出の大きさより、どこで回収しているかの順番です。
案件の見積もりを、メイン動画とShortsで分けて記録しておく。
MrBeastの事例では、30〜45秒の企業案件が約4億円、縦型を足すと約8,000万円の上乗せでした。
桁は違っても、メイン動画と縦型をセットで出すと単価が上がる形は自分のチャンネルでも組めます。
セットで出した実績を数字で残しておくと、次の交渉で根拠になります。収入の柱が動画広告だけになっていないか、一度書き出しておく。
メディア部門は3年連続の赤字で、利益を出したのは自社ブランドのほうでした。
視聴者が増えているうちに、自分のジャンルで売れる物、講座、会員制のどれか1つを決めておくと、再生単価が落ちたときに戻れる場所が残ります。大型企画は、外れたときの許容額を先に決めてから出す。
1000万ドル(約16億円)の動画でも、本人はそんなに伸びないだろうと書いていました。
1本にかける費用が月商の何割までなら耐えられるかを決めておくと、公開後の数字で慌てずに次の企画を判断できます。

コメント
まだコメントはありません。最初の1件をどうぞ。