事例・戦略

英ArcadeがYouTuberの案件にテレビ並みの効果測定、広告主150社に提案

  • 英ロンドンのArcadeが9月17日、広告主とブランドの担当者150人以上を集めてクリエイター動画の説明会を開きました。テレビと同じ効果測定を付けて予算を取る狙いで、企業案件の売り方を変える動きです。
  • 広告主が予算を出すには、再生回数だけでなくキャンペーンの報告と費用対効果が要ります。この基準を出せるかどうかで、案件の単価と継続受注が変わります。
  • 企業案件を受けているチャンネル運営者と、これから受けたい人に関係します。効果測定の数字を出せず単価が上がらないチャンネルは、報告の作り方を見直す材料になります。
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英Arcadeが広告主150社に開いた説明会

ロンドンのエンターテインメント企業Arcadeが9月17日、ロンドンで招待制の説明会を開きました。
集まったのは広告主とブランドの担当者150人以上です。
会場ではクリエイターの企画と視聴者データが並べて示されました。
テレビ局が改編期に番組枠を広告主へ売り込む場はUpfrontと呼ばれ、ヨーロッパでクリエイター向けに開かれたのは初めてだと会社側は説明しています。

ArcadeはThe Sidemenのマネジメント会社として2021年にJordan Schwarzenberger、Sam Uwins、Aaron O'Neillの3人が創業しました。
現在はエンターテインメント企業として立て直し、Max Fosh、Friends From Work、John Nellis、Faith Kelly、Generation Football、Fallow Chefsの6組を加えています。
この拡張にはLumina Mediaから100万ドル以上(約1億6,000万円以上)の出資が入りました。
Luminaは戦略アドバイザーも担います。
CEOのMatt Elekが就任したのは2026年7月です。
Vice Mediaで18年働き、うち10年以上をヨーロッパ・中東・アフリカ事業のCEOとして過ごした人です。

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18〜34歳は木曜の夜にYouTubeをつける

Elekが説明会で繰り返したのは、視聴者の行動はもう変わったという主張です。

18〜34歳なら、木曜の夜に学校や仕事を終えて家に帰り、テレビのチャンネルをつけることはありません。
YouTubeをつけて、特定の番組やチャンネルを見るのと同じように、特定のクリエイターを見ています。

ここが読みどころです。
若い視聴者にとってYouTubeは、ながらで流しておく場所にとどまりません。
テレビが占めていた一等地の時間を、クリエイターの動画が取っているという見立てです。

そのうえでElekは、広告予算が行動の変化に追いついていないと指摘します。
多くのブランドにとってクリエイター媒体はまだ二番手か試験的な枠のままで、届けたい層にとっては主要な接点になっている、という整理です。

テレビと同じ効果測定を案件に付ける

視聴者の話だけでは広告主は動きません。
予算を出す側は、テレビが当たり前に提供している測定基準を求めます。
Elekの答えは、その基準をクリエイターの案件に持ち込むことでした。
放送メディアにお金を払うときに期待されるキャンペーンの報告書、マーケティングの効率、投資対効果を、クリエイター案件でも同じように出す。
同氏はこれを「厳密さと運用の質」を持ち込む取り組みだと説明しています。

Arcadeの商用部門はすでにVirgin Media O2、Formula E、Esports World Cup、Unilever、Lego、Papa Johnsと組んでいます。
Creator Access部門はYouTubeのパートナーセールスのライセンスを持ちます。
これは、担当クリエイターの動画に対して広告配信を保証できる仕組みです。
一般的なインフルエンサー案件の組み方より、従来のメディア購買に近い形になります。
会社はこの組み合わせを、ブランドが出資しやすい安全な場所と位置づけています。
ライセンスの審査条件や料金は原文では明らかにされていません。

「1%の中の1%」が基準、登録者数ひとつでは選ばない

6組の追加は1週間で発表されましたが、交渉には何カ月もかかっています。
それでも線引きは変わりませんでした。
狙うのはElekの言う「1%の中の1%」です。
1万人に1人という絞り込みになります。
判断材料は視聴者の規模、動画の品質、視聴者の反応、今後の伸びしろの4つで、どれか1つの数字で決めることはありません。

クリエイターの質を全体で見て、その人のキャリアをどう伸ばせるかを考えます。

この絞り込みには営業上の狙いもあります。
測れる視聴者を持つ選ばれたクリエイターだけを並べたほうが、誰でも入れるネットワークよりブランド側に説明しやすいという理屈です。
ElekはThe Sidemenを、他のクリエイターがたどれる道筋の見本として位置づけています。

案件を取るだけでなく、事業の共同経営者になる

Arcadeの狙いは企業案件とYouTubeの成長にとどまりません。
配信サービス、テレビ、映画、ライブイベントへの展開を支え、クリエイターが商品を出したり会社に投資したりしたいときには、出資も含めて関わります。
収益の構造もそこに合わせました。
処理した案件の数ではなく、担当クリエイターが成功した分だけArcadeの取り分が増える形です。

「エンドースメント契約を取ることではありません。私たちもやりますが、クリエイターが本当に事業や商品に関わりたいとき、何かを立ち上げたいときに、その事業パートナーになれるかどうかです」

The Sidemenも今回の拡張の恩恵を受けます。
担当が増えれば、ネットワーク全体で使える体制、ブランドとの関係、案件の流れが増えます。
Elekは、創業メンバーのグループも同じ恩恵を受けると説明しています。

ヨーロッパのクリエイター媒体はまだ序章

Elekが描く5年後の姿は、テレビが全盛だったころの商業環境に近づいた状態です。
スターがいて、題材が広く分かれていて、予算も見合っている状態。
YouTubeでのリーチと視聴者の規模が伸び、クリエイターの経済圏がその生態系に似てくることを望んでいると述べています。

Viceでの経験をElekが引き合いに出すのには理由があります。
初期のネットメディアも、広告主が予算を確約するまでに何年もかかりました。
その時間の感覚が、いまの判断の土台にあります。

日本の案件の相場や国内での提供状況は原文に書かれていません。
ただ、テレビの予算をクリエイター側に引っ張るには、再生回数だけでなくキャンペーンで何がどう変わったかを数字で出せるかが分かれ目になる、という主張は持ち帰れます。

出典: Net Influencer

自分のチャンネルにどう影響するか

企業案件を1本でも受けたことがあるなら、この話は自分ごとです。
日本の広告主が何を見て決めるかは原文に書かれていませんが、案件の報告で何を出すかという論点はそのまま当てはまります。

  1. 直近の案件で出した報告書を開いて、キャンペーン前後で数字が並んでいるかを見ておく。
    再生回数だけで終わっていると、次に単価の話になったときに材料が足りません。

  2. 広告主に見せる1枚を先に決めておく。
    Arcadeが人を選ぶときに置いたのは視聴者の規模、動画の品質、視聴者の反応、今後の伸びしろの4つでした。
    自分のチャンネルでも同じ4つを数字で言えるようにしておくと、商談のたびに資料を作り直さずに済みます。

  3. 案件以外の売り口を1つ持っておく。
    Arcadeは扱った案件の数ではなく、クリエイターが成功した分だけ取り分が増える形を選んでいます。
    商品や講座、会員制など自分の名前で売れるものがあると、案件の条件を飲めないときに断る選択が残ります。

出典

  1. Arcade Sets Out to Bring Primetime Budgets to European Creator MediaNet Influencer

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