事例・戦略

YouTube ShortsをAI翻訳で5言語展開、英語版が1本3,000回で最多

  • YouTube Shortsの解説動画をAI翻訳とAI音声で5言語に増やした3カ月の実験で、英語版が15本で約45,000回と最多でした。広告収益は合計約500ドル(約8万円)で制作費とほぼ同じです。言語別の数字と制作手順をまとめます。
  • 同じ動画を多言語に増やすだけで、日本語だけでは届かない視聴者に当たります。英語版は1本あたり3,000回で日本語の1,667回を上回り、1000回あたりの広告単価も6ドルと3.5ドルで差が付きました。
  • Shorts中心で日本語だけでは伸び悩んでいるチャンネルにまず関係します。多言語展開や吹き替えを検討している運営者、ネイティブ確認の外注費の相場を先に知っておきたい人にも効く内容です。
画像はイメージです

日本語だけでShortsを出していると、届く相手はほぼ日本語話者に限られます。
同じ動画を5言語に増やしたら何が起きるのか。
AI翻訳とAI音声合成を使った3カ月の実験記録が、noteに公開されています(元記事)。

5言語版は3カ月で10万回、英語版が1本3,000回で最多

実験の設計はこうです。
AIツールの使い方を説明する1〜2分のShortsを、英語・スペイン語・ポルトガル語・ヒンディー語・フランス語の専用チャンネルに3本ずつ、3カ月で合計15本投稿しました。
題材はChatGPTの生産性、Canva、Notionなど、元の日本語動画と同じ内容です。

再生回数は言語で大きく分かれました。

  • 英語: 3カ月で約45,000回。
    1日あたり約500回、1本あたり3,000回
  • スペイン語: 約22,000回。
    1日あたり約240回、1本あたり1,467回
  • ポルトガル語: 約18,000回。
    1日あたり約200回、1本あたり1,200回
  • ヒンディー語: 約8,000回。
    1日あたり約90回、1本あたり533回
  • フランス語: 約7,000回。
    1日あたり約78回、1本あたり467回
  • 日本語の既存チャンネル: 約25,000回。
    1日あたり約278回、1本あたり1,667回

既存の日本語チャンネルはすでに育っているので単純比較はできないと原文は断っています。
それでも新規の英語チャンネルは1本あたりで日本語を上回りました。
5言語の合計は約10万回です。

画像はイメージです

1000回再生の広告単価は英語6ドル(約960円)、ヒンディー語1.5ドル(約240円)

収益は、公開した再生回数にCPM(1000回再生あたりにクリエイターへ入る金額)を掛けた試算として示されています。
実際の入金額ではありません。

  • 英語: 45,000回 × 6ドル = 約270ドル(約4万3,000円)
  • スペイン語: 22,000回 × 3ドル = 約66ドル(約1万1,000円)
  • ポルトガル語: 18,000回 × 2.5ドル = 約45ドル(約7,200円)
  • ヒンディー語: 8,000回 × 1.5ドル = 約12ドル(約1,900円)
  • フランス語: 7,000回 × 2ドル = 約14ドル(約2,200円)
  • 日本語: 25,000回 × 3.5ドル = 約87.5ドル(約1万4,000円)

合計は約500ドル(約8万円)です。

言語の選び方で参考にした材料も書かれています。
YouTube利用者の言語別シェアは、英語が約30パーセント(利用者100人のうち30人)、スペイン語が約15パーセント(同15人)、ポルトガル語が約10パーセント(同10人)、ヒンディー語が約5パーセント、フランス語が約4パーセント、日本語が約3パーセント。
英語・スペイン語・ポルトガル語の3つで利用者の約55パーセント、5言語で約64パーセントを覆います。

筆者は言語圏ごとの広告単価の相場も挙げています。
英語圏は1000回再生あたり4〜8ドル(約640〜1,280円)、スペイン語とポルトガル語は2〜4ドル(約320〜640円)、ヒンディー語とフランス語は1〜3ドル(約160〜480円)。
上の試算に使った単価は、いずれもこの範囲の中に収まっています。

1本の元動画から5言語版を作るのに3〜4時間

制作は元の日本語動画を用意するところから始まり、5言語版がそろうまでが3〜4時間です。
内訳は元動画の制作に1時間、翻訳と音声生成に1時間、編集と字幕づくりに1〜2時間です。

台本は元動画の自動字幕から起こし、DeepLで各言語へ翻訳します。
品質を優先するなら1言語ずつ回したほうが安全だと筆者は書いています。
訳文はChatGPTに「ネイティブにとって自然か」を確認させ、不自然な表現を直します。
音声はElevenLabsやAzure Speech ServiceなどのAI音声合成で作り、編集ソフトで日本語ナレーションと差し替え、画面内のテロップも訳文に置き換えます。
字幕はSRT形式のファイルを手動でアップロードします。
YouTubeの自動字幕より、手動で用意した字幕のほうが品質が高いからです。

運用の効率化も具体的です。
翻訳の管理はNotionで言語ごとのタイトル・概要欄・字幕ファイルを一元化。
アップロードはYouTube Data APIを使い、Pythonのスクリプトで一括処理。
投稿頻度は言語ごとに決め、英語チャンネルは週3回、スペイン語チャンネルは週2回にしています。
概要欄には他言語版へのリンクを並べ、チャンネル間を行き来できるようにしました。

AI翻訳の失敗はネイティブ確認で潰す、1言語15〜20ドル

スペイン語チャンネルでは、翻訳が不自然だという指摘がスペイン語話者の視聴者から届きました。
原因は技術用語をカタカナのまま残したことです。
「productivity」は「productividad」と訳すところで、ChatGPTの校正でも指摘されていたのに見落としていました。

ヒンディー語では「automation」を「स्वचालन」と訳しましたが、実際にはカタカナ由来の「ऑटोमेशन」のほうがよく使われます。
フランス語では、AI音声のイントネーションが不自然だという指摘が来ました。
AI音声は文字数と間で音を作るため、フランス語独特の抑揚までは再現できないと筆者は見ています。

対策として、Fiverr(海外のフリーランス仲介サービス)で各言語のネイティブに字幕と音声のチェックを依頼するようにしました。
1言語あたり15〜20ドル(約2,400〜3,200円)です。

制作費と広告収益はほぼ同じ、動画は残って稼ぐ

数字を並べると、採算はぎりぎりです。
15本を作るのに45〜60時間かかっており、筆者が自分の作業時間を時給1,500円で換算すると約6万7,500〜9万円。
AI音声合成サービスの利用料は月15ドル(約2,400円)で、3カ月で45ドル(約7,200円)。
制作費の合計は約7万5,000〜9万7,000円になり、広告収益の約8万円とほぼ同じか、少し赤字です。

筆者はここを「動画は資産」と見ています。
投稿から3カ月たっても動画は見られ続けて広告収益を生むため、長い目で見れば回収できるという見立てです。
英語だけで見た場合の目安として月30ドル(約4,800円)、年360ドル(約5万8,000円)という数字も挙げ、5言語に広げれば理論上は月150ドル(約2万4,000円)を超えるとしています。

ただし、示された収益はすべて再生回数に単価を掛けた試算です。
実際の入金額や、日本のチャンネルで同じ単価が出るかどうかは原文に書かれていません。

※円換算は1ドル=160円(2026年8月時点の目安)です。

自分のチャンネルにどう影響するか

多言語展開は、英語だけで試すか、いきなり5言語に広げるかで判断が変わります。
この実験は5言語を同時に走らせた例なので、同じやり方をそのままなぞるより、自分のジャンルで小さい試し打ちを先に置いたほうが数字が読みやすくなります。

  1. 元動画の字幕をSRTで残しておく。
    自動字幕から台本を起こせば、翻訳の入口がそのまま作れます。
    多言語をやらないと決めた場合でも、字幕は検索と視聴維持に効きます。
  2. 英語版だけ3カ月試して、自分のジャンルで1本3,000回が出るかを見る。
    単価6ドルなら15本で約270ドル(約4万3,000円)が目安です。
    5言語に広げる前に採算の当たりが付きます。
  3. ネイティブ確認の費用を収益の試算に先に入れる。
    1言語あたり15〜20ドル(約2,400〜3,200円)で、技術用語の言い換えまで含めて頼むと指摘の手戻りが減ります。
    AI音声の自然さは言語で差が出るので、主要言語ほど人の耳を通しておくほうが安全です。

出典

  1. Targeting Overseas Revenue with YouTube Shorts and AI Translation! How to Create a ...Bing News: YouTube ad revenue

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