事例・戦略

Live Nationがクリエイターのライブ支援会社、視聴者を客席に変える狙い

  • Live Nationがクリエイターのライブ興行を支援する新会社Creator Nationに出資します。企業案件やファンイベント、ツアーを一品ずつ選べる形で提供し、会場の手配まで担います。広告以外の稼ぎ口を増やしたいチャンネル運営者に関係します。
  • アルゴリズムに頼った収益は変動が大きく、リアルな接点を持てるかどうかが収入の安定を分けます。会場を数百持つ大手が動くと、個人では難しかった興行の入口が広がります。
  • ライブやファンイベントを収益の柱に加えたいチャンネル運営者にまず関係し、登録者を物販や案件につなげたい運営者にも同じ設計が参考になります。
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Live Nationがクリエイターのライブ興行に新会社

チケット販売大手Ticketmasterの親会社であるLive Nationが、動画で活動するクリエイター向けの新会社Creator Nationに出資しました。
クリエイターとそのファン、企業の間に入って、リアルなイベントを開くのを支援する会社です。
Tubefilterが伝えています。

Live Nationは自らを「世界最大のライブエンターテインメント企業」と称する上場企業です。
新会社を率いるのはアレクシス・フィッシャーさんとスコット・フィッシャーさんの夫婦で、2人ともクリエイターやアーティストのマネジメント会社を立ち上げた経験があります。

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支援は「定食ではなく一品ずつ」選べる形

アレクシスさんは、Creator Nationの提供内容をレストランのメニューに例えています。
決まった組み合わせの定食を頼むのではなく、必要な一品だけを選べる形にするという説明です。

ライブ体験を一緒に作るために、タレントを独占的にマネジメントする必要はありません。
企業案件を一緒にやるために、マネジメント会社が独占契約を結ぶ必要もありません。

相手は個人のクリエイターだけではありません。
企業のマーケティング担当者や、ほかのマネジメント会社も顧客になります。
マネジメント会社が自前で持っていない会場手配や興行のノウハウを、外から借りられるようにする設計です。

アルゴリズムに頼らず、見ている人を買う人に変える

スコットさんが挙げたのは「注意を借りるビジネス」からの脱却でした。

アルゴリズムに頼ってビジネスを動かしていると、そこから抜け出した何かを作る必要があります。
受動的に見ているだけのフォロワーを、来場して買い、また買って支えてくれるファンに変えるための道具とサービスを渡すのです。

企業案件でも、交流イベントでも、ツアーでも、画面の外に出て実際に会う場を作る。
アレクシスさんはそこに今後の伸びしろがあると話しています。

Live Nation側の支援は資金と、会場手配をはじめとする実務面です。
世界各地に数百の会場の支配権を持つため、会場を押さえるのが難しい個人でも興行を組みやすくなります。

経営トップは「クリエイターは事業になりつつある」と説明

Live Nationの社長兼CEO、マイケル・ラピーノさんは声明で、クリエイターはコンテンツ、ライブ、ブランド、コマースにまたがる機会を備えた、より広いエンターテインメント事業に近いキャリアを築きつつあると述べました。
そのうえで、スコットさんとアレクシスさんはそうした事業を長期で築く手伝い方を分かっていると評価しています。

Live Nation自身が2026年の多くを法廷で過ごす

4月、陪審はLive NationとTicketmasterがライブイベント市場で独占状態を作り、競合を締め出してチケット価格をつり上げていると評決しました。
米連邦取引委員会(FTC)は別の訴訟も起こしており、転売業者を利している、手数料を二重に取っている、購入手続きの最後まで本当の価格が分からない表示をしていると主張しています。

Tubefilterの記事は、Live Nationはクリエイターがこうした問題に目をつぶり、収入をCreator Nationに預けてくれることを期待しているのだろう、と皮肉を添えています。
取引先として頼るかどうかを決めるときは、この係争の行方も材料になります。

日本のチャンネルにとっての読みどころは稼ぎ方の設計

Creator Nationを日本で使えるかは原文に書かれていません。
どの国からサービスを始めるのかも明らかにされていません。

読みどころは、稼ぎ方の設計そのものです。
広告収益はアルゴリズムと広告市況で振れます。
同じ視聴者でも、会場に足を運んでお金を払う人を何人作れるかは、別の柱になります。
Creator Nationが示しているのは、独占契約を結ばずに必要な機能だけを外から借りる形です。
イベント会社や物販会社と組むときの参考になります。

自分のチャンネルにどう影響するか

ライブ興行という選択肢が、会場を持つ大手の資金で動き始めました。
自分のチャンネルに置き換えて、次の3点を見ておくと判断しやすくなります。

  1. 収入の内訳を一度書き出しておくと、広告とShortsにどれだけ寄っているかが見えます。
    ライブや物販、案件の比率が1割を切っているなら、増やす余地はそこにあります。
  2. 「何人来場して、何人が買ったか」を数える仕組みを先に決めておくと、イベントを打ったあとに効果を測れます。
    登録者数だけを見ていると、動員が増えたかどうかが分かりません。
  3. 外部の会社に頼むときは、独占契約かどうかを最初に確認しておくと、あとで他の選択肢を試せなくなって困りません。
    Creator Nationが売りにしているのは、この独占を外した形です。
    同社の親会社が抱える係争は、契約の前に自分で確かめておく範囲になります。

出典

  1. Live Nation is capitalizing on the creator economy with a new firmTubefilter

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