キャラ演じ分けで企業案件6割、YouTube長尺を軸にする連続ドラマ設計
- ブーマー母とミレニアル母を1人で書き演じるKristen Knutsonは、収入の6割を企業案件で得ています。連続ドラマを6〜10話まとめて書く設計と、案件の制約をキャラに吸収させる受け方を解説します。
- 短いスキットで見つけてもらい、長尺で関係を続ける2段構えの運営です。台本の書き方と案件の受け方が、そのまま収益の配分につながっています。
- 複数キャラを演じ分けるチャンネルと、TikTokやInstagramからYouTubeへ視聴者を移したい運営者に関係します。企業案件が多いチャンネルは、受け方と尺の設計を参考にできます。

アメリカのクリエイター、Kristen Knutson(クリステン・ノットソン)は、2人の母親キャラクターを自分で書いて自分で演じています。
ひとりは善意で空回りしてしまうブーマー世代(戦後生まれ)の母、Deb(デブ)。
もうひとりは、幼い子どもを育てながら年老いた親の世話も抱える「サンドイッチ世代」のミレニアル母、Kayla(ケイラ)です。
@callmekristenmarie として、TikTok、Instagram、Facebook、YouTubeに動画を出しています(Net Influencer)。
書き始めたのは本人が親になった直後です。
ミレニアル世代の自分の育て方と、自分を育てたブーマー世代の育て方との間に生まれる摩擦、初めての子育ての戸惑い、子どもが生まれて関係が組み替わる感覚。
それを外に出す言葉としてコメディがありました。
Debを出したときの反応は早く、周りからは「これ、私の母だ」という声が返ってきた、と本人は振り返っています。
Debの中身は、身近にいる実在の人物、その行動のパターン、フォロワーがDMで送ってくる話から作られます。
フォロワーは自分の周りにいる似た人についてよく書いてくるので、その特徴をキャラクターに足し戻していきます。
収入の6割は企業案件、4割はプラットフォームから
収入の内訳は企業案件が6割、プラットフォームからの支払いが4割です。
月100万円の売上なら、案件が60万円、プラットフォームからが40万円という配分になります。
案件の単価はジャンルと季節で動き、いちばん高くなるのは年末商戦の時期です。
断る基準も決まっています。
知らないブランド、自分が使わないブランドの話は受けません。
単発の案件より、長く続く相手を選びます。
付き合いが長いほうが、相手の人となりもブランドもよく分かるからです。
プラットフォームからの支払いが4割あるので、案件が1本終わっても収入がゼロにはなりません。
案件が6割あるので、再生回数が動いた月の影響も受けにくい形です。

連続ドラマは6〜10話まとめて一気に書く
60秒のスキットは、それだけで完結するように作ります。
視聴者の注意をつかみ、言いたいことを伝え、そこで終わる。
Kaylaの連続ドラマ「The Kayla Files」は、その形式では描けないものを出すために始まりました。
1年のあいだに、性格も役割も違う登場人物が10人前後に増えています。
台本の作り方は独特です。
来年の初めまで届く構成のアウトラインを先に引き、大きな山場の位置を決めておきます。
実際の台本は、各シリーズを6〜10話ぶんまとめて一気に書きます。
人物の秘密や事件の細部は、全キャラクターの台本を書き始めてから見えてくる、という感覚だそうです。
骨組みはアウトライン、細部は執筆の場で見つける分担です。
戻ってくる視聴者は、すでに登場人物に感情を預けている人たちです。
だから1話目だけでなく、毎話でその期待に応える必要がある、という前提で書いています。
YouTubeは長尺を求める視聴者が戻ってくる場所
YouTubeについて、本人はこう話しています。
「YouTubeの視聴者ははるかに忠実で、長い尺のコンテンツを見たがっています」
長尺の作り方を考えるようになったことが、クリエイターとしての成長につながったとも話しています。
60秒のスキットで笑いを取ることと、続きを待たせることは、求められる技術が違います。
本人は2つの形式を別々に設計していて、短い尺の反応と長い尺の反応を同じものとして扱っていません。
製薬案件の言い回しもキャラのまま吸収する
キャラクターものに案件を組み込むのは簡単ではありません。
製薬会社の案件には、シットコムのブーマー母が口にしないコンプライアンス上の言い回しが付いてきます。
規制対象の健康商品には、決まった用語を使う必要があります。
本人のやり方は、その制約をキャラクターの側に取り込むことです。
案件で口頭の開示が必要になったとき、本人が「第4の壁を破る」と表現する場面では、キャラクターがそれを認めて、そのまま話を進めます。
開示が台本の外から差し込まれるのではなく、スキットの一部になるわけです。
基準は自分自身に置いています。
面白いかどうか。
共感できる要素があるかどうか。
ここが満たされない案件は受けません。
ブランド側が「インフルエンサー」という枠で見てくると、書いて演じる仕事として伝わらない、という指摘もしています。
ソーシャルメディアがテレビと同じ時間を奪い合うようになったのはここ1〜2年で、俳優やコメディアンと同じ目線で見られたい、というのが本人の立場です。
次の一手はYouTubeシリーズの開発
YouTube向けの新シリーズ「Deb's Bakery」を開発中です。
Debを軸にした企画で、ゲストのクリエイターや演者を入れて広げる構想です。
「The Kayla Files」には、昔見ていた放課後の昼ドラマと比べるコメントが集まっています。
本人はOdyssey Entertainment Groupに所属し、同社の番組プログラムを、クリエイターの仕事とテレビの間の見え方の差を埋める動きと見ています。
その先に、テレビ番組や本、より高い制作費と長い尺での展開を想定しています。
背景にあるのは視聴者の我慢強さの変化です。
長尺の連続ドラマがここまで見られるようになったのはここ数年の変化だと本人は見ていて、2〜3年前なら、ここまで受け入れてもらえなかったという見方です。
自分の気持ちを書くところから始まった2人のキャラクターは、いまでは台本の構造と収入の設計を持つ形になっています。
自分のチャンネルにどう影響するか
案件を1本でも受けたことがあるチャンネルなら、持ち帰れるのは比率そのものより、案件が来たときの受け方と尺の設計です。
案件の組み込み方を先に決めておくと、撮影当日に台本が崩れません。
自分のチャンネルのキャラクターが絶対に言わない言葉を、あらかじめ書き出しておきます。
製薬や健康食品の案件は決まった言い回しが必要なので、その一覧と突き合わせる場所を作っておくと迷いません。連続ものを始めるなら、アウトラインを先に引いて、台本は数話まとめて書く順番が向いています。
1話ずつ書くと、前の話の設定を毎回思い出しながら書くことになります。
6〜10話という単位は、その往復を減らすための目安です。直近3か月の収入の内訳を出しておくと、次にどこを増やすかが決まります。
案件6割・プラットフォーム4割という配分は、案件が1本途切れた月にも収入が残る形です。
片方に寄りすぎていないかを数字で見ておくと、単価の交渉でも基準が持ちやすくなります。

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