YouTube登録者14万人の映画監督、AIで空撮1万ドル(約160万円)を俳優の撮影に
- YouTube登録者14万人の映画監督アレックス・ザルファティ氏が、生成AIで空撮などの手間のかかる部分を代替し、浮いた1万ドル(約160万円)を出演者の演技撮影に回しています。講座の集客もYouTube経由です。
- 映像の見せ場をAIで作り、予算を人に寄せる判断は、少人数で長尺の企画を作るチャンネルほど効果が出やすいものです。
- 長尺の企画や映像制作を自前でやっているチャンネルと、YouTubeを講座や自社商品の入口に使いたい運営者に関係します。

映画監督のアレックス・ザルファティ氏が、生成AIを制作工程に組み込んだやり方をYouTubeで公開しています。
Tubefilterのインタビューによると、同氏のチャンネルは登録者14万人、月の再生回数は約15万回です。
月15万回を1日あたりに直すと約5,000回になります。
登録者14万人に対しては、登録者1人が月に1回見る程度の規模です。
数字だけを見れば大きくはありません。
それでも同氏は、このチャンネルを映画を作るための資金と信用の入口にしています。
最初の1本は768回、1年投稿しても伸びなかった
同氏がYouTubeに投稿を始めたのは2022年です。
1年間まじめに出し続けても再生は伸びず、本人は「再生も付かず、誰も気にしていなかった」と振り返っています。
最初の動画の再生回数は768回でした。
転機になったのは、自分のプロジェクトのメイキング映像です。
再生数や視聴維持率を狙わず、作りたいように作ると決めた1本でした。
この動画が伸び、1本あたり数万回の再生が出るようになり、映画作りに関心のある登録者が集まり始めます。

視聴維持率を狙うのをやめた1本で再生が動いた
ここで起きたのは、数字を追うのをやめた動画が数字を連れてきたという順番です。
同氏はこの1本について、視聴者のために作るのでも、視聴維持率のために作るのでもなく、自分が作りたいものを作ると決めたと説明しています。
1年間の空振りと、そこから数万回への立ち上がりの差は、企画の作り方ではなく目的の置き方から来ています。
伸びなかった期間の長さも含めて、そのまま数字が原文に残っています。
AIが代わるのは手間のかかる部分、空撮1万ドルを俳優に回す
同氏の最近の投稿は、生成AIによって「危険なほどクリエイティブになれた」と題し、AIが作品の手間のかかる部分を引き受けると説明しています。
予算の使い道を変えるという考え方です。
時間とお金のすべてを、俳優の演技を撮ることに使う。
予算から1万ドルを出してパトカーを並べた空撮を撮るのには使わない
予算1万ドルは約160万円です。
1カットの空撮にそれだけ払う代わりに、その分を出演者に回す。
同氏は、十分な制作費があれば実景で爆発まで撮りたいと認めたうえで、予算が制約になっている現場ではこの組み替えが効くと話しています。
日本のチャンネルでも、外注していたイメージカットや空撮をAIで作れば、浮いた分を出演者や編集に回せます。
金額の大小はあっても、予算がどこに消えているかは同じ構造です。
出演俳優をAIに置き換えるのはやらない、という線引き
同氏は生成AIの利用が議論を呼ぶことを認め、「とても大きなグレーゾーンだ」と位置づけています。
反対する人がいてもおかしくないとも話しています。
一方で、話している俳優をAIに置き換えることはしないと明言しています。
小規模な制作を大きく見せるための道具として使い、責任ある使い方をするなら可能性は広い、というのが同氏の立場です。
境界線の引き方としては分かりやすい形です。
何をAIに任せ、何を人が演じるかに分けて、後者を残すと決めているだけです。
登録者14万人でも月15万回、YouTubeは講座の集客装置
短編映画『Fail Safe』を完成させたことをきっかけに、同氏はクリエイターのマネジメント会社Viral Nationと契約しました。
同社で番組開発を担当するポール・テルナー氏は、いまはクリエイターが自分で企画のゴーサインを出す番だと話しています。
Iron Lung、Backrooms、Obsessionのようなクリエイター発の映画でハリウッドの関心が高まった、というのがその理由です。
同氏にとってYouTubeは、完成した作品を見せる場所であり、制作の裏側を見せる場所です。
もうひとつの役割が、映画制作講座の集客です。
チャンネルから講座へ人を送り、作り手としての入口を作る立場にもなっています。
広告収益だけを見れば小さい規模のチャンネルでも、講座という出口があれば話は変わります。
使っている生成AIのツール名、講座の料金、『Fail Safe』の配給先は原文に書かれていません。
なお、原文にはViral NationがTubefilterの提携先だと明記されています。
※円換算は1ドル=160円(2026年8月時点の目安)です。
自分のチャンネルにどう影響するか
機材や外注にお金をかけているチャンネルほど、この話は他人事ではありません。
AIをどこに入れるかを決める前に、制作費が何に消えているかを見ておくと、判断する場所が絞られます。
- 直近3本の制作费を、外注した素材と出演者・撮影に分けて書き出しておく。
人が映っていない尺からAIに置き換える余地が出てきます。 - 講座や自社商品を持っているなら、概要欄と固定コメントの導線を数えておく。
登録者14万人で月15万回という規模でも講座の集客装置として働いている例なので、再生数より講座ページに来た人数を追うほうが次の手を決めやすくなります。 - 出演者をAIに置き換えるかどうかは、先に線を引いて決めておく。
ザルファティ氏は話す俳優の置き換えはしないと決めています。
どこまでなら許容するかを言葉にしておくと、案件や共演の相談が来たときに判断がぶれません。

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