事例・戦略

YouTube含む3媒体200万人の料理クリエイター、ブログを主収益に案件は副菜

  • Instagram・TikTok・YouTubeで200万人の料理クリエイター夫婦が、ブログを主収益、企業案件を副収入として事業を分けています。案件の入金は長いと半年待つためです。
  • 企業案件の入金は2〜3か月かかり、長いと6か月待ちます。収益の柱を案件の外に置けば、入金の遅れに振り回されずに企画を続けられます。
  • 料理や暮らし系で企業案件を収益の中心にしているチャンネル運営者にまず効きます。ブログや自社商品を持ちたい長尺チャンネルにも、同じ設計が使えます。
画像はイメージです

YouTube含む3媒体200万人、ブログとSNSは別事業

Instagram・TikTok・YouTubeを合わせて200万人を超えるフォロワーを持つ料理アカウント「Two Plaid Aprons」のMei LiuさんとKyong Hanさんは、ブログとSNSを別々の事業として動かしています。
2人はNet Influencerの取材でそう説明しました。
どのプラットフォームが何人という内訳は原文に書かれていません。

Kyongさんの言葉です。

私たちは2つの事業をやっている。
ブログと、それからSNSだ

ブログが毎月安定した収入を作り、SNSが視聴者を集め、条件が合ったときだけ企業案件が生まれる。
役割がはっきり分かれているのが、この話でいちばん持ち帰りやすいところです。

2人はルイジアナ州の料理学校で出会い、ミシュラン星付きレストランで働いた料理人です。
パンデミックで飲食業が止まって職を失ったことをきっかけに、2019年から副業で続けていたレシピ発信を本業に切り替えました。

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ブログが主菜、案件は副菜 支払いは2〜3か月待つ

企業案件は、収益の中で意図的に2番手に置かれています。

企業案件を事業の背骨にすることは絶対にない。
すべて主菜に対する副菜だ

理由は入金の速さです。
企業案件の支払いは60〜90日、長いと180日かかります。
2〜3か月、長くて6か月待つ計算です。
ブログは毎月入ってくるので、翌月の見通しが立てられます。

受け方の条件もはっきりしています。
契約の前に商品を試すことです。
大手ブランドのほうが表現の裁量を残してくれることが多く、小さいブランドほど報酬が少ないのに要求が多くなる、というのが2人の実感です。
小さい頃はどの会社とも組んでいたそうで、Meiさんは「かなり裏目に出た」と振り返っています。

コメントでレシピを配る仕組みがブログへ送る

2つの事業をつないでいるのが、動画のコメント欄にキーワードを書くと、レシピのリンクがダイレクトメッセージで届く仕組みです。
視聴者をブログへ送る導線として働いています。

もともとフォロワーが自分からやっていたのを見て、仕組みとして整えました。
その後は届いたメッセージに1通ずつ返信しています。
返信をもらった読者から「返してくれた」と言われることが、コミュニティを具体的なものにしているとMeiさんは話します。

集客先もひとつではありません。
2人は早い段階から投稿先を分散させました。
とくにPinterestは見くびられがちな場所だとMeiさんは言います。
3年前に投稿したレシピが今になって伸び、毎日何千回も見られるようになった例があるそうです。

ブログが本業になった最初のきっかけは動画でした。
2020年半ばに韓国風クリームチーズガーリックブレッドのレシピがブログで伸び、続いてトルネードエッグ(卵を細長くねじって炒飯の上にのせた料理)の動画がアルゴリズムに拾われてサイトへ人を流しました。
Meiさんは当時、これは続ける価値のある商売だと判断したと話しています。

検索されないレシピは料理本に回す

レシピを公開するかどうかの判断にも基準があります。
ブログの検索で上位に入れるかどうかです。
Kyongさんは、よいキーワードでないもの、そもそも人が知らないものは上位に来ないと説明しています。
検索語にならない料理はプラットフォームに出さず、料理本へ回しました。

料理本「Fork and Chopsticks」には108のレシピが入っています。
サイトの内容と重なるのは10〜12品だけで、残りは本のための書き下ろしです。
検索の論理から外れた料理を置く場所として本を作った、という順番になります。

制作は外注なしでした。
朝6時から翌日の1時まで、2週間半から3週間。
レシピの試作から1,300枚を超える写真撮影までを一気に進めています。
体より先に精神が参ったとKyongさんは言います。
仕上げたあと日本へ向かう空港で、掲載写真がすべてRAWではなくJPEGで書き出されていて印刷に耐えないと出版社から連絡が入りました。
帰国して全部やり直しています。

撮影中に頭の中で編集する独学の作り方

映像制作は2人とも独学です。
Kyongさんは他のクリエイターの動画を分析し、自分たちに合う原則だけを取り入れました。
撮影しながら、どのアングルで何を見せ、どんな音を聞かせるかを決めています。
編集ソフトを開く前に構成がほぼ固まっている状態です。

カメラが苦手なこともあり、画面に2人の顔はほとんど出てきません。
料理を主役のまま撮る進め方は、顔を出さずに作っているチャンネルにもそのまま当てはまります。

1本6か月のアニメ回、AI生成ではないと明言

料理の次に力を入れているのが、アニメ作品の再現です。
アニメ『薬屋のひとりごと』のある回では、ウォルマートで買った大鍋の取っ手を折って塗装し、大きな氷の塊を自作し、作中に出てくるハンマーを日本から80ドル(約1万2,800円)で取り寄せました。
この密度の回は1本に約6か月かかります。

ここまで手をかける背景には、AI生成の映像が本物と見分けにくくなってきたことがあります。
コメント欄で人が作ったのかどうかが議論されるようになった、と2人は話します。
Kyongさんは自分たちの動画はAI生成ではないと明言し、Meiさんは視聴者が求めるものが本物らしさのほうへ動いていると見ています。

2人が次にやりたいのはアニメの料理本と料理教室です。
教室では、プロの訓練をそのまま教える側に回りたいと考えています。

自分のチャンネルにどう影響するか

収益の柱をどこに置くかは、案件の本数より入金の速さで決まります。

  1. 企業案件の支払い条件を契約前に見積もりへ入れておくと、資金繰りの穴が先に見えます。
    2〜3か月、長いと6か月待つ前提で置くと、その間を埋める収入源を決める話になります。
  2. コメント欄から自分のサイトやリストへ人を送る導線を数えておくと、次の一手が決まります。
    コメントのキーワードにDMでリンクを返す仕組みは、フォロワーが自分から始めた行動を後から整えた例です。
    自分のコメント欄で同じ動きが起きていないかを見ると、作り込む前の需要が分かります。
  3. 検索語にならない企画の置き場所を先に決めておくと、ネタを捨てずに済みます。
    ブログで上位に入らないレシピを動画にせず本へ回す、という判断がありました。

出典

  1. Why This Michelin-Trained Chef Creator Duo Runs Its Blog and Social Channels as Separate BusinessesNet Influencer

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