ポッドキャスト会社が半脚本の音声ドラマ、YouTubeで骨格は台本で中身は即興
- 米国のポッドキャスト制作会社TMGスタジオが、設定とゲストの入場だけ台本で決めて会話は即興で演じる半脚本の音声ドラマをYouTubeで始めました。生成AIは使わない方針も表明しています。
- 空想型のポッドキャストは作れる人が限られ、雑談や対談の番組より数が少ない形式です。台本で決める範囲を狭めるほど、書き上がりを待たずに連続物を作れます。
- 対談や雑談のチャンネルで数字が伸びなくなった運営者にまず関係し、生成AIをどの工程で使うかを決めたいチャンネルにも判断材料になります。

ポッドキャスト会社が半脚本ドラマ、YouTubeで公開
米国の音声番組制作会社TMGスタジオが、骨格だけ台本を用意して中身は出演者に任せる半脚本の空想ドラマを始めました。
新作は「Superior Exotics II」で、舞台は米カリフォルニア州オレンジ郡の、さびれたコンビニです。
店員を演じる2人が40分のエピソードを「シフト」に見立てて収録し、回転する「客」がドアから入ってきます。
番組は制作会社のサイトと、専用のYouTubeチャンネルで公開中です。
Tubefilter
台本で固めるのは、店の設定とゲストがいつ入ってくるかだけです。
会話の中身は即興で、出演はコメディアンのミロ・タッカー=マイヤーさんとカイル・チェイスさん。
2人は回を追って自分の役を育てていきます。
制作会社を立ち上げたのは、短尺動画アプリVineの出身でポッドキャスターのノエル・ミラーさんです。
長年の共演者であるコーディ・コーさんと2021年に立ち上げ、いまはジャンルも出演者も違う11番組を抱えています。

空想型のポッドキャストが少ない理由は作る手間
音声番組の主流は、2人が近況や時事を話す雑談型と、ゲストを招く対談型です。
空想型は、台本を書く人と演じる人の両方がそろわないと作れません。
原文は、求められる技能が珍しく、完成までに時間がかかることを、数が増えない理由に挙げています。
過去に届いた例として、原文は「Welcome to Night Vale」「The Magnus Archives」「Wolf 359」を挙げています。
TRPG(サイコロを振りながら物語を進める対話型のゲーム)を実際に遊ぶ様子を録音した「The Adventure Zone」「Critical Role」も、同じ棚に入ります。
連続ドラマを音声で作るチャンネルは多くありません。
撮影の手間を増やさずにシリーズ物を持ちたいなら、題材として空いている場所です。
台本で固めるのは設定とゲストの入店だけ
ミラーさんは、いまのポッドキャストとYouTubeチャンネルの境目についてこう話しています。
二人が自分の人生について話す番組に、今はほとんど価値がない。
ポッドキャストとは何か、YouTubeチャンネルとは何か。
もう固い線はなくて、全部がよく分からない一塊になっている。
半脚本に踏み込むのは、この境目が消えたことへの答えだと原文は伝えています。
設定とゲストの登場だけ決めて、あとは演じる人に任せる形が、その答えになっています。
出演者はカメラの前で持つ人から選ぶ
番組の出来を決めるのは、演じる人です。
ミラーさんは出演者の選び方について、こう説明しています。
タレントと組むときは、かなり絞って選んでいる。
カメラの前での存在感がある人が多くて、大きなスタジオはフィルターをたくさん通したがるから、そういう人にチャンスを与えない。
インターネットの違う場所から人を引っ張ってきて、架空の場所に置く。
アベンジャーズのような瞬間を作りたい。
自社に入れた出演者を企画の中心に据える方針も語っています。
日本のチャンネルに置き換えるなら、企画を先に固めてから出演者を探す順番を逆にして、カメラの前で持つ人を先に見つけておく形です。
生成AIは使わない、と会社のオーナーが明言
原文は、生成AIが制作の工程に入り込み、YouTubeやTikTok、InstagramがAI機能を勧めてくる状況を挙げたうえで、TMGスタジオは生成AIを使わないと書いています。
ミラーさんの発言です。
人間が創作を自分で決められることは、今とても大事だ。
お粗末な量産をしないための創作は戦いで、アルゴリズムの中で格闘しながら人を引き止めないといけない。
もし自分たちが最後の人間主導のメディアチャンネルで、ほかが全部データセンターで作られるようになっても、それで構わない。
これは1社の方針表明で、YouTubeの規約や仕様が変わったという話ではありません。
日本の運営者にとっては、生成AIをどの工程で使うかを決めるための材料になります。
YouTubeとポッドキャストの境目が消えている
ミラーさんは、既存のメディア企業が苦戦している理由も境目の話につなげています。
配信の出口を握っているあいだは「こう配れ」と言えて、俳優になる道も整えられていた。
インターネットがその過程を壊した、という見方です。
何がクリックベイトか分からず、視聴者は自分が見ているものを信じない。
YouTubeの動画とは何か、ポッドキャストとは何かを問うても、境界がない。
番組を音声として作っても、置き場所はYouTubeのチャンネルで構わない。
TMGスタジオは実際にその形を取っています。
日本語の番組を同じ形で作る場合に海外の視聴者へ届くかは別の話で、原文には日本での提供状況や視聴可否は書かれていません。
判断が分かれるのは、演技を入れるかどうかです。
対談より手間は増えますが、同じ尺のまま、出演者と設定だけで差を作れます。
自分のチャンネルにどう影響するか
長尺の対談や雑談で数字が伸びなくなったとき、尺を変えずに形式だけ替える手があります。
TMGスタジオが選んだのは、台本で決める範囲を思い切り狭めるやり方でした。
台本を書く範囲を先に決めておくと、台本が仕上がるのを待たずに収録を回せます。
設定、登場人物、ゲストが入るタイミングだけ決めて、会話は出演者に任せる形です。
台詞まで書き込むと、演じる人が滑ったときに立て直せません。出演者を選ぶ基準に「カメラの前で持つか」を置いておくと、シリーズを引っ張れる人が見つからないまま初回を迎える事態を避けられます。
別々のチャンネルで見せている人を1本に集める企画も、この基準で人が見えていれば組み立てやすくなります。生成AIを使うかどうかは、動画ごとではなくチャンネルの方針として先に決めておくと、外注や編集の指示がぶれません。
使わないと決めるなら、その線引きを企画の説明に書いておくと、制作に関わる人に意図が伝わります。

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