事例・戦略

YouTubeの長尺をテレビ広告枠として売る会社、条件は20分超と週1投稿

  • 豪州の会社ロストが、アスリートと組んでYouTube発の会社を作る事業を始めました。条件は20分超の動画を週1で出し、10万人が継続視聴することです。
  • テレビの広告費は企業案件より財布が大きく、同じ動画でも値付けの土台が変わるからです。
  • 20分以上の長尺を週1で出しているチャンネルの運営者に、値付けを見直す材料になります。
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豪州の会社ロストが、アスリートと組んでYouTube発の会社を作る事業を始めました。
稼ぎ口をテレビの広告費に置くこの動きは、長尺を続けるチャンネルの値付けに関わってきます。

テレビ広告の枠になる条件は20分超と週1投稿

ロストは2026年1月にシドニーで創業しました。
創業者はトリストン・ハイナー氏です。
アスリートや有名人と一緒に、YouTubeを軸にした娯楽会社を共同で作ります。
出来上がった会社の株式を、ロストが持ちます。
ロストの説明はNet Influencerが伝えています。

売り込む先は、ブランドが持つテレビ広告の予算です。
その入口になる条件を、同社はアメリカのスポッターとイギリスのアーケード・メディアの定義として挙げています。

動画が20分を超えること。
週1回か隔週で出し続けること。
10万人以上が繰り返し見ていること。
視聴の中心がテレビやゲーム機などの大画面であること。
この4つがそろって初めて、SNSの出稿先ではなくテレビの広告枠として売れます。

この条件を満たす動画は、世の中のSNS動画のうち0.02%ほどです。
1万本のうち2本です。
ロストはそこに賭けています。

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テレビ広告の予算を狙い、営業担当をメディア畑から採る

ハイナー氏は狙いをはっきり言います。

「私たちが狙っているのはインフルエンサーの予算ではなく、テレビの予算です」

ブランドのメディア予算は、いくつかの区分に分かれています。
インフルエンサー向けの出稿、ブランドコンテンツ、そしてテレビの枠です。
ロストの売り込みは、有名アスリートのチャンネルを3つ目の区分に置くものになります。

その営業のために、同社はブランドのメディア購買を担当してきた人を採用しました。
アスリートに付いている既存の代理人は、出演料や広告出演の交渉が中心です。
この売り方は、その担当者の仕事とは別物になります。

制作費を全額出して株を持ち、成功報酬は取らない

ロストは制作の依頼料を取りません。
相手と一緒に会社を作り、株式を持ちます。
制作費も運用費も同社が先に立て替え、最初の売上から経費を回収してから利益を分けます。
クリエイター側は資金を出しません。

「サービス会社なら、タレントは名簿に載る顧客で終わります。自分の資金と時間を投じているので、返ってくるのは執念です」

2026年初めに、同社は140万豪ドル(約97万5,000ドル、約1億5,600万円)を調達しました。
チームは6人です。
スウェーデン在住のYouTube戦略担当が入っています。

内容責任者は、ワーナー・ブラザースで番組制作を担当したトム・ロア氏です。
オーストラリアのテレビで16年の経験があります。
商業責任者は、Urban Listで営業責任者をしていたレイラニ・バカーイ氏です。
配信サイトのKickからは、ライブ配信の制作担当を採用しています。

投資家がファンダムを資産として見始めた

ハイナー氏は、視聴者とファンの違いは測れると考えています。
その人たちが実際の会場を埋められるかどうかが目安です。

「ファンは購買力と、広がりの力を生みます。それが投資の対象になる資産です」

投資会社も同じものを見ています。
アメリカのスロー・ベンチャーズは、熱心なコミュニティを持つクリエイターに200万〜300万ドル(約3億2,000万〜4億8,000万円)を出しています。
木材加工のような専門的な題材でも対象です。

イギリスのスティーブン・バートレット氏は、2025年後半に自身の会社で1,000万ドル以上(約16億円以上)を調達しました。
アメリカのチャーニン・グループは、人材会社ナイト・メディアに出資しています。
ナイト・メディアはMrBeastと一緒にFeastablesを立ち上げた会社で、その後、体験型イベントの会社を買収しました。

アスリート側の動きもあります。
ゴルファーのブライソン・デシャンボー氏はYouTubeチャンネルを作りました。
サッカーのアーリング・ハーランド氏は、ワールドカップに合わせてシドメンとコラボし、若い層に向けた動画を出しています。
シドメン自身も、2025年から毎年ウェンブリー・スタジアムのチャリティ試合を満員にしています。

ライブ配信と体験型イベントが次の5年の柱

ハイナー氏が今後伸びると見ているのは、ライブ配信と実地のイベントです。

ライブ配信は、ゲーム配信のコミュニティが最初の視聴者を作りました。
今はiShowSpeed氏のような配信者が、商売として成り立つ領域に押し上げています。
5年以内に、コンテンツ戦略を持つすべての組織がライブ配信を柱に入れると同氏は見ています。

実地のイベントでは、ナイト・メディアが体験型イベント会社を買収した動きを先行指標と見ています。
ロストも買収か、レッドブルのようなイベント畑の幹部採用で、この機能を社内に持つ計画です。

当面はオーストラリアで5〜6社の実例を作り、そのあと拠点をアメリカへ移します。
テレビ枠の条件に当てはまる動画は0.02%、1万本に2本です。
その位置に立てるチャンネルは、まだごくわずかしかありません。

※円換算は1ドル=160円(2026年8月時点の目安)です。

自分のチャンネルにどう影響するか

動画の長さと投稿の間隔は、自分で決められる数少ない変数です。
テレビの広告予算を狙うなら、この2つが入口になります。

  1. 直近3か月の動画で、20分を超えて週1〜隔週で出せている本数を数えておくと、テレビ枠の条件まであと何本かが見えます。
  2. 収入の見積もりを、案件の単価からブランドのどの予算区分に当たるかへ移しておくと、値付けの土台が変わります。
    同じ動画でも、テレビの予算から出るなら金額の桁が違ってきます。
  3. ライブ配信と実地のイベントは、次の収入源の候補です。
    ロストはすでにライブ配信の制作担当を採用し、この分野に人を置いています。

出典

  1. Lost Co-Founds Media Companies With Athletes and Targets Television Budgets on YouTubeNet Influencer

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