EU司法裁がジオブロッキングの基準を提示 「知っていたか」で責任が変わります
- EU司法裁判所が、最新水準のジオブロッキングを施していれば、VPNで回避されても侵害責任を負わないと判断しました。
- ただし、国によって著作権の保護状況が違うことを知っていた、または知り得た場合には対策の義務が生じます。
- 個人の発信者にどこまで同じ基準が及ぶのかは、はっきりしていません。
「最新水準の地域制限」なら回避されても責任を負わない
EU司法裁判所が、アンネ・フランク財団の事件で、オンライン公開における地域制限の扱いを示しました(Technology & Marketing Law Blog)。
判断の骨格はこうです。IPアドレスに基づいて所在地からのアクセスを遮断する、最新水準のジオブロッキングを施していれば、VPNで回避される可能性があっても、保護されている国での著作権侵害の責任は負わない。
技術的に完全に防げないことをもって責任を負わせるのではなく、水準に見合った対策をしていたかどうかで判断する、という考え方です。
「知っていたか」が分かれ目になります
もう1つの軸が知識の基準です。ある作品がEU域内の一部の国では著作権で保護され、別の国では保護期間が切れている。この状況を知っていた、または当然知り得たといえる場合には、ライセンスのない地域へのアクセスを制限する義務が生じます。
対策の程度は、その知識の度合いと事業の形態に見合ったものであることが求められます。
個人にどこまで及ぶかは未解決です
解説では、この基準が企業だけでなく、個人の発信者や一般の利用者にも同じように適用されるのかについて疑問が示されています。個人が各国の保護期間を調べ切ることは現実的ではないため、発信の萎縮につながりかねないという指摘です。
保護期間は国ごとに違います。日本では公開後の年数で切れているように見える作品が、EUの一部の国ではまだ保護されている、という状況は珍しくありません。
自分のチャンネルにどう影響するか
海外視聴が多いチャンネルほど、他人事ではありません。
1. 公開範囲の地域設定が使えることを知っておく
YouTubeには、動画ごとに視聴できる国を制限する設定があります。権利の状況が国によって違う素材を扱うときは、この機能で対象国を絞るという選択肢があります。今回の判断は、こうした技術的対策を取っていたかどうかを評価しています。
2. 「日本ではパブリックドメイン」を海外にそのまま持ち出さない
保護期間が切れた古い映像や音源を扱う企画は、日本国内の基準で組み立てられていることが多いはずです。EU圏からの視聴が一定量あるチャンネルでは、その前提が通らない国があると認識しておく必要があります。
3. 権利処理の記録を残す
どの素材を、どの根拠で使ったのか。使用許諾、保護期間の確認日、参照した資料を残しておくと、後から問い合わせが来たときに「知り得なかった」ではなく「確認して判断した」と説明できます。この差が責任の有無を分けます。
出典
- CJEU Judgment on Geoblocking & Standards for Knowledge of Foreign Copyright LawsTechnology & Marketing Law Blog
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