番組名が商標で訴えられる時代 EFFが「表現物には表現の自由の物差しを」と主張
- 宗教団体が、その名称を含むポッドキャスト名の使用をめぐって商標侵害を主張し提訴しました。
- EFFは2026年8月10日に意見書を提出し、表現物にはロジャース基準を適用して早期に却下すべきだと主張しています。
- 争点は、一般名詞に近い語の商標権で、批評や議論そのものを止められるかどうかです。
番組名に含まれる語が商標だと主張されました
末日聖徒イエス・キリスト教会が、モルモニズムとその文化を論じるポッドキャスト「Mormon Stories」に対し、番組名に含まれる語の商標権を主張して提訴しました。EFFが2026年8月10日、訴えを却下するよう求める意見書を裁判所に提出しています(EFF)。
EFFの主張
EFFの主張は大きく2つです。
1つは、表現物のなかで語が使われている場合には、表現の自由に配慮した基準を当てるべきだという点です。米国の裁判所の多くが採用しているロジャース基準を適用すれば、弱い商標の主張は審理の早い段階で却下できます。今回の管轄ではまだ採用されていないため、その適用を求めています。
もう1つは、商標制度の目的です。EFFは、商標は消費者が商品の出所を見分けるための制度であって、批評をコントロールするための制度ではない、という立場を示しています。一般的な語に対する商標権を広く認めると、商標権者がそのテーマに関する議論そのものを支配する力を持ってしまう、という懸念です。
一度きりの話ではありません
EFFは同様の事例が繰り返されてきたことも示しています。2014年にはマッチングサービスへの提訴に反対し、2016年には団体への警告があり、2025年には別のポッドキャストへの圧力がありました。
つまり、名称に関する法的な圧力は単発の事故ではなく、続く可能性のある型だということです。
自分のチャンネルにどう影響するか
海外の宗教団体の話に見えますが、構造は日本のチャンネル名にもそのまま当てはまります。
1. チャンネル名に企業名・作品名・団体名を入れているなら要注意
「◯◯を語るチャンネル」「◯◯解説」のように、対象の固有名詞をチャンネル名に組み込んでいるケースは多いはずです。批評や解説であれば正当な使用と評価される余地はありますが、相手が商標権を持っていれば、まず警告が来る可能性があります。
2. 名称は「変えられる設計」にしておく
チャンネル名は、ハンドル、ロゴ、サムネイルのテンプレート、SNSアカウント名、グッズと連動しています。すべてに名称が焼き付いていると、いざ変更を迫られたときの損失が大きくなります。名称に依存しない識別子(ロゴやキャラクター、色)を並行して育てておくと、被害を小さくできます。
3. 警告が来たときは、公表前に確認する
商標の警告は、内容によっては単なる牽制のこともあります。ただし対応を誤ると不利になります。SNSで公開して反応を見る前に、まず内容を保全し、専門家に相談する順序を守ってください。
出典
- Dismiss Church's Trademark Lawsuit Against "Mormon Stories" Podcast, EFF Urges CourtElectronic Frontier Foundation
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