YouTube再生数カウント変更で浮上、ブランドが買う指標は「可視性」でなく「影響力」
- YouTubeが再生回数の集計方法を変更したのを受け、メディア企業のマーケティング責任者が、ブランドはクリエイター案件で誤った指標を使っていると指摘しました。
- 再生数やフォロワー数などの可視性の指標は影響力を示さず、長期的な関係性やエンゲージメントが評価される時代に変わりつつあります。
- ブランド案件を獲得したいYouTuberやチャンネル運営者は、再生数以外のエンゲージメント指標をまとめた資料づくりが重要になります。

再生回数カウント変更が可視性と影響力を分けた
YouTubeは2026年8月24日から、再生回数のカウント方法を変更しました。
従来は30秒以上視聴された場合に「再生」と数えていましたが、新しい方式では動画の再生が始まった時点で1回とカウントします。
再生回数は表面上は増えますが、その数字が意味することは変わります。
この変更を機に、ブランドがクリエイター案件で誤った指標を使っていた実態が浮き彫りになりました。
指摘するのは、メディア企業Recurrent Venturesのマーケティング担当バイスプレジデント、Alessandra De Benedetti氏です。
Net Influencerのインタビューで「可視性は影響力ではない」と話しています。
Recurrent Venturesは、自動車メディアのDonut Mediaや、狩猟・釣りをテーマにしたOutdoor Lifeなどを運営する会社です。
同社では、エンゲージドビュー(30秒以上視聴された再生)や平均視聴時間、テレビ画面での視聴比率を重視しています。
リビングのテレビ画面で見られている動画は、ながら見ではなく意図的な視聴の表れとみなすからです。

ブランドが犯しやすい3つの間違い
Alessandra氏によると、ブランドのマーケターがクリエイター案件で繰り返す間違いは3つあります。
- クリエイティブを過度に制御する。
声を買っているのに、その声を消すようなブリーフィングをすれば、役者を雇うのと変わりません。 - クリエイターとの関係を単発の広告枠として扱う。
ファンは長期的なパートナーシップを評価するため、1回の出稿では効果が出ません。 - フォロワー数や再生数の大きさで選ぶ。
知名度の数字は可視性の指標であり、その人が本当に支持されているかは別問題です。
YouTubeのカウント変更は、3つ目の問題をさらに見えにくくします。
再生回数が水増しされるため、表面上の数字だけを見て判断すると、可視性と影響力を取り違えやすくなるからです。
過小評価されているのは長尺・ライブ・ポッドキャスト
テレビ画面で見る長尺動画、1時間のポッドキャスト、会場に足を運ぶライブイベント。
Alessandra氏はこうしたフォーマットが「帰属が難しい」という理由で過小評価されていると言います。
ブランドは広告の効果測定をしやすいものに予算を付けがちですが、最もエンゲージメントが高いのは実際にイベントへ来る人たちだと同社は見ています。
パーソナリティはAIに負けない
AI生成コンテンツに置き換えられやすいのは、定型的なノウハウを答えるサービス記事だとAlessandra氏は話します。
逆に守られるのは、独自の取材や分析、そして特定の人間の声です。
視聴者が関係性を築いたパーソナリティは合成できないため、パーソナリティこそがAIへの防衛策になると言います。
また、出版社とクリエイターの境界は曖昧になりつつあると指摘します。
出版社はタレントマネジメントに近づき、クリエイターは出版社の持つ制作体制を学び始めている。
数年後には、この2つの区別は誰がIP(知的財産権)を持つかという法的なものだけになるかもしれない、と予測しています。
案件の評価軸は「再生数」から「関係性」へ
ここが一番大事なところです。
ブランドが可視性からエンゲージメントへ軸足を移すなら、チャンネル側もそれに合わせた資料を用意しておくと有利です。
平均視聴時間、視聴完了率、テレビ画面での視聴比率、コメントの質やコミュニティの反応など、再生数以外の数字をまとめたメディアキットが評価されます。
自分のチャンネルにどう影響するか
まず確認したいのは、自分がどの指標で評価される立場かです。
ブランド案件の営業資料では、再生数や登録者数だけでなく、平均視聴時間、視聴完了率、テレビ画面での視聴比率、コメントやコミュニティの反応を並べると、可視性ではなく影響力を示せます。
- メディアキットに「再生数」と「エンゲージメント」を分けて記載する。
特にテレビ画面での視聴比率や、長尺動画の平均視聴時間は、ながら見ではない意図的な視聴の証明になります。 - 単発の案件実績よりも、同じブランドと複数回組んだ事例を前面に出してください。
ファンは長期的な関係性を評価するため、継続案件の実績は強い根拠になります。 - イベントやポッドキャストなど、効果測定が難しいけど熱量の高い接点を持っているなら、その参加者の声や反応を記録して残しておくと、ブランド側が予算を取りやすくなります。
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