法務・判例

YouTube撮影目的で障害のある学生に暴行した22歳の男を逮捕、動画のネタが刑事責任に

  • YouTubeの動画を撮るために大学へ来たと供述した22歳の男が、自閉症の学生をトイレの個室に閉じ込めて暴行した疑いで逮捕されました。容疑は3つで、海外では撮影目的の行為に実刑が出ています。
  • 動画のネタのための行為が、暴行や監禁といった刑事責任として問われる例が海外で続いています。収益停止より重い結果になる前提で、企画の線引きを決めておく話です。
  • ドッキリや突撃系、第三者が写る企画を出しているチャンネルの運営者にまず関係します。相手を追いかける構成を使ったことがあるなら、自分の企画を読み直す材料になります。
画像はイメージです

米フロリダ州のノースフロリダ大学で、YouTubeの動画を撮るためにキャンパスへ来たと話した22歳の男が逮捕されました。
自閉症の学生を追いかけ、トイレの個室に閉じ込めて暴行した疑いが持たれています。
Dexertoが伝えました。

容疑者はJack Tyler Laroche、22歳です。
被害にあった学生がキャンパス警察に通報したことで、警察が構内で身柄を確保しました。
動画のネタのために他人に手を出した人を待っているのは、規約違反による収益停止ではなく刑事責任です。
企画の作り方がそのまま法の線を越えうる、という読み方をしておきたい事件です。

YouTubeの撮影目的で大学に来た男が逮捕されました

学生が最初に異変を感じたのは、寮の外で自分についてくる見知らぬ男に気づいたときでした。
学生は友人の部屋に逃げ込みましたが誰もおらず、建物のロビーにあるトイレに入って個室の鍵をかけました。

警察の説明によると、Larocheは隣の個室に入り、仕切り越しに学生へ話しかけたうえで、鍵のかかった個室の中に入り込みました。

画像はイメージです

鍵をかけた個室に隣から入り込み、顔を撮影しました

学生の電話番号を聞き出し、本物かどうかを確かめるためにその場でかけ直しています。
さらに学生を撮影し、ヘッドロックをかけて何度も顔をはじいたとされています。
このとき学生のメガネが床に落ちて割れ、鼻に軽い擦り傷、頬に腫れが確認されました。

10分間のタイマーが鳴るまで出られませんでした

去る前に、Larocheは学生に10分のタイマーをセットさせ、「早く出たら迎えに行く」と警告したと警察は述べています。
防犯カメラには、学生の後ろについてトイレに入り、およそ14分後に出てくる姿が映っていました。
学生は怖くてタイマーが鳴るまで個室に残り、その後、車でキャンパスの警察署へ向かっています。

警察が学生の携帯から得た番号にかけると、出た男は「Jack Jones」と名乗り、65歳でジョージア州にいると答えました。
警察は後に構内でLarocheを見つけます。
同じ偽名を使い、ノースフロリダ大学の学生だと主張しましたが、自分の寮を答えられませんでした。
学生が面通しで確認したあとで本名を明かし、YouTubeの動画を作るために来たと話したとされます。
警察によれば「ふざけていた」と述べる一方で、学生との接触は否定しました。

障害者虐待と監禁、偽名の3つの罪で起訴されました

Larocheが問われているのは、障害のある成人への虐待(重大な身体の傷害を負わせない場合)、監禁、警察への虚偽の身元申告の3つです。
すべてで有罪になり、それぞれの刑期を続けて科された場合、理論上は最大11年の懲役になります。
デュバル郡拘置所に収容され、保釈金は22,500ドル(約360万円)に設定されました。

同じ「企画のため」で実刑が出た例が続いています

原文は、クリエイターが動画のために法の線を越えるケースへの視線が強まっていると指摘しています。
韓国での一連の行為で配信者のJohnny Somaliが懲役6カ月の実刑判決を受けたこと、8月にアリゾナ州テンペで複数の店舗になりすまして入り込んだTikTokのいたずら投稿者が、なりすましの罪を認めたことを挙げています。

「撮影のため」という説明が、司法の場では言い訳にならないことが分かります。
今回の件でも、Larocheは学生との接触自体を否定している段階です。
動画を伸ばすための演出と、相手の身に危険が及ぶ行為の間には、プラットフォームの判断より先に刑事罰という線が引かれます。

YouTubeの対応は原文に書かれていません

Larocheがどのチャンネルを運営していたのか、登録者数がどれくらいだったのかは原文に書かれていません。
YouTubeがアカウント停止や収益化停止の措置を取ったかどうかにも触れられていません。

同じ行為が日本の法律でどう扱われるか、日本のチャンネルで同じ事件が起きたときにどの罪に問われるかも、原文には書かれていません。
原文から確実に言えるのは、警察が容疑者本人から「YouTubeの動画を作るために来た」という趣旨の説明を引き出しているという点です。

※円換算は1ドル=160円(2026年8月時点の目安)です。

自分のチャンネルにどう影響するか

海外の事件ですが、企画の立て方がそのまま法的なリスクになる構造は、日本のチャンネルにも同じようにあります。
撮影の相手に何をしてよいかの線を、撮る前に決めておく話です。

  1. 第三者が写る企画は、撮影前に「何をする・何をしない」をメモに残しておくと、通報や指摘が来たときに説明する材料になります。
    相手が逃げている状況をそのまま撮り続ける構成は、反応が取れても公開後に取り下げる判断が要ります。
  2. 企画書に出演者の同意欄を1行足しておくと、あとで「聞いていない」と言われたときの確認場所が決まります。
    無関係の人を巻き込む撮影は、動画を非公開にすれば済む話にはなりません。
    今回の件は刑事事件として扱われています。
  3. 逮捕や起訴のニュースを企画の参考にするときは、何が罪になったのかを1行で書き出しておくといいです。
    今回なら暴行、監禁、偽名の3つです。
    どの行為が線を越えたのかを分けておくと、自分の企画からどこを削るかが決まります。

出典

  1. YouTuber accused of chasing disabled student into bathroom stall and assaulting him for contentDexerto

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