YouTubeのAI量産動画、広告主が外す 分類はGoogle審査外
- 広告の掲載先を調べるIASが、YouTubeのAI量産動画を分類しました。広告主は自社の広告を出さないよう指定でき、判定はGoogleの審査外です。
- AIで作った量産動画は広告主に避けられやすく、同じ再生回数でも収益が変わります。
- AIで大量に動画を作るチャンネルにまず響き、編集やナレーションにAIを使うチャンネルも判定次第で対象に入ることがあります。

広告主が、YouTubeのAI量産動画の隣に自社の広告を出さないよう選べるようになりました。
判定するのは外部の会社で、その基準にGoogleは関わっていません。
IASがYouTubeで始めたAI量産動画の分類
広告の掲載先が適切かを検査する米国の会社IAS(Integral Ad Science)が、2026年9月30日にこの機能を公表しました。
低品質な生成AI動画を分類し、広告主のキャンペーンをそこから遠ざけます。
対象はYouTubeで、世界で同じように使えます。
同じ製品はこれまで、一般のウェブサイト向けに提供されていました。
YouTubeは、一般サイトの外では初めての導入先です。
IASは他のプラットフォームにも広げると書いていますが、名前も時期も明らかにしていません。
発表はプレスリリースではなく、自社ブログの1本です。
書き手は「IAS Team」名義で、役員のコメントは載っていません。

設定は既存の管理項目に足す形、除外は入札の前
AI量産動画は、独立した管理画面ではなく、いま使っている設定の中に入ります。
暴力や成人向け表現、報道といった分類と同じ並びに、AI量産動画の項目が足される形です。
許容するかどうかは広告主ごとに決める話で、全社共通の基準ではありません。
入札の前に除外する仕組みも入っています。
IASは、毎日自動で更新されるので担当者が手作業でリストを保守する必要はないと説明しています。
配信後には、どの動画に広告が出たか、最後まで見られたかを確認できます。
使う指標はAVOCです。
音声と映像がオンになっていたか、最後まで再生されたかを表します。
1日1回という言葉には読みどころがあります。
ここからはIASの言葉からの推測ですが、更新が1日1回ということは、判定があらかじめ計算されて設定に流し込まれる形を指します。
ウェブ版はページをほぼリアルタイムで採点しています。
もしこの読みが正しければ、朝に公開して収益化が始まった動画は、次の更新まで広告を受け取り続けます。
判定はYouTubeの公開データ、Googleの審査なし
IASの説明で技術的にいちばん具体的なのは、末尾の注記です。
分類は自社の基準で作り、YouTube Data APIの文脈情報を使い、Googleによる審査は受けていないと書いています。
YouTube Data API(外部の開発者が使えるYouTubeの窓口)が渡すのは、タイトル・概要欄・タグ・カテゴリ・統計です。
映像そのものは渡していません。
IASが映像や音声、文字起こしも見ているかは不明です。
この線は、YouTube自身が引いている線とは別です。
YouTubeは2025年7月、量産コンテンツのルールを「反復的なコンテンツ」から「不誠実なコンテンツ」に変えました。
そのとき、物語をよくするためにAIを使うことは収益化の対象外にしないと説明しています。
YouTubeで収益化できているチャンネルが、IASの基準では低品質と判定される。
2つの線は一致しません。
同じ動画でも、見る人によって答えが変わるんですよね。
日本語やShortsが対象かは書かれていない
ウェブ向け版は、公開時点で英語のテキストだけが対象でした。
YouTube向けの発表は、扱う言語に触れていません。
日本語の動画がどう判定されるかは分かりません。
Shortsにも触れていません。
テレビで見るYouTubeも同じです。
発表は「CTV & Video」というカテゴリに入っていますが、対応する画面は明記されていません。
成果の数字もありません。
5月にウェブ版を一般提供したときは10億回を超えるインプレッションを分析したと述べています。
YouTube版では、精度も、除外された本数も、価格も出していません。
正直、判断の材料としてはまだ薄いままです。
有効化はセルフサービスではありません。
IASの担当者に連絡する形だと書かれています。
AI量産の広告収益は年4億ドル、外から栓が入る
この分類が狙う相手は、AIで動画を大量に作るチャンネルです。
2025年12月のKapwingの調査では、新しいアカウントに最初に見せられたShorts500本のうち104本、21%がAI生成の低品質動画でした。
さらに165本、33%が意味の薄い刺激的な動画です。
上位のAI量産チャンネルは、広告から年間400万〜425万ドル(約6億4,000万〜6億8,000万円)を得ていると見積もられています。
IASの分類は、その収益源に外側から栓をする形です。
YouTube側も供給を絞る動きを進めています。
2026年8月にはShortsの収益化条件を引き上げました。
2027年2月1日からは、90日で1000万回のShorts再生が必要です。
1日あたり約11万回のペースになります。
新規の申請者は2000万回です。
同じ問題に、別の入口から手が入ったことになります。
ウェブでの数字はきれいだが、条件を揃えた比較ではない
IASは5月、ウェブ版の効果として2つの数字を出しました。
低品質と判定されなかった配信先では、成果の出る率が49%高く、成果1件あたりのコストが24%低いというものです。
成果が100件出ていた場所なら149件になる差。
コストは100円かかっていたところが76円です。
5月14日から17日に配信された10億回超のインプレッションがもとですが、IAS自身の集計で、条件を揃えた比較試験ではありません。
業界団体の分析では、AI量産の在庫は見た目の指標がきれいに出ます。
TAGとANA、Fiduciaが2026年7月に分析を公表しました。
AI量産は2026年第1四半期のウェブ広告費の1.3〜2.4%を占めています。
広告費100万円のうち1万3,000〜2万4,000円です。
無効なトラフィックの率は0.05%で、健全な配信先の0.32%より低く出ました。
1万回の配信で5回と32回の違いです。
視認率も100回のうち77回と75回で上回りました。
既存の数字では見分けにくい、ということがここから分かります。
チャンネル側への通知は説明されていない
IASの分類は広告主の側で動きます。
動画の持ち主に通知が届くかどうかについても、説明はありません。
日本のチャンネルがどう扱われるかは、原文に書かれていません。
世界共通で使えると書かれているだけです。
自分のチャンネルが分類されているかを外から確かめる方法は、いまのところありません。
できるのは、量産の型から離れることと、収益の動きを数字で押さえておくことです。
出典: PPC Land
自分のチャンネルにどう影響するか
AIを編集やナレーションの補助に使っているだけなら、明日チャンネルが止まる話ではありません。
ただ、広告主が自分で除外先を選べるようになった以上、YouTubeの条件を満たしていても広告が付かない動画は出てきます。
月ごとのRPMを並べておくと、変化に気づけます。
Studioの「アナリティクス」→「収益」タブで、動画ごとのRPM(1000回再生あたりにクリエイターへ入る金額)を確認できます。
AIで本数を大量に作っている側は、もっと見えにくい立場です。
判定の基準も精度も公表されておらず、外されたことを知らせる仕組みも説明されていません。
残る手がかりは数字だけです。
同じ再生回数でRPMが下がり続けるなら、広告主の予算が別の動画へ移った線が濃くなります。
量産の型から1本だけ離れた動画を作っておくと、単価の差を自分のデータで比べられます。

コメント
まだコメントはありません。最初の1件をどうぞ。