アニメ解説のYouTubeチャンネルに著作権の削除申請が集中、登録者130万人でも60本超が削除
- アニメのリアクション動画を出すYouTubeチャンネルに、権利保護の代行会社から著作権の削除申請がまとめて届きました。登録者130万人のチャンネルでは十数件の申し立てで60本以上が消え、YouTubeがあとから申請を取り消しています。
- YouTubeは誰が権利者かもフェアユースに当たるかも判断せず、有効な形式の申請が届いた時点で動画を削除します。解説を足しても許されない、というのが申請側の言い分です。
- アニメやドラマのリアクション、解説、切り抜きを出すチャンネルに効きます。本編映像を有料の会員向けに置いているチャンネルほど、今回と同じ申請の的になりやすい状況です。

登録者130万人のチャンネルが、十数件の申請で60本を失った
アニメのリアクション動画を出すYouTubeチャンネルに、権利保護の代行会社から著作権の削除申請がまとめて届いています。
Dexertoが9月12日に伝えました。
登録者130万人のNicholas Lightさんは9月6日、「My Channel will be Deleted Today」と題した動画で警告を発しました。
Remove Your Mediaという会社から十数件の著作権侵害の申し立て(いわゆるストライク)を受け、60本以上の動画が一時的に非公開になったといいます。
その後YouTubeは申請を取り消し、チャンネルは削除しないと本人に伝えました。
Lightさんは続けて出した動画で、声を上げた視聴者と他のクリエイターに感謝しています。
同じ申請は他のアニメ解説チャンネルにも及んでいます。
Rice & Gingerを運営するRonさんとMichelle Jacksonさん夫妻は、自分たちのアカウントが数百回にわたって申請の対象として報告され、数日以内に削除されるおそれがあると説明しました。
夫妻は、1人の相手が自分たち全員に地獄のような状況を作っている、という趣旨の言葉で今回の騒動を表現しています。
このチャンネルは9月10日の時点で公開が続いています。
何件の申し立てでチャンネルが削除されるかは、原文に書かれていません。

「解説を足せば別物」と「本編をそのまま出している」の争い
リアクション動画は、出演者のコメントと、編集やぼかしを加えた本編映像を組み合わせて作ります。
クリエイター側は、コメントを足すことで別の作品になっている(変容的)として、フェアユース(引用や報道なら権利者の許可なく使えるという米国のルール)に当たると主張します。
Remove Your Mediaの見方は逆です。
多くのチャンネルが実際には1話をまるごと出していて、視聴者を有料のPatreon(ファン向けの会員制サービス)版に誘導している、というのが同社の主張です。
法的代理人のEvan F. Stone氏は米メディアのThe Vergeにこう述べています。
commentary, in this context, does not make the use transformative
この文脈では、解説を加えても利用が変容的になるわけではない、という意味です。
同社は毎日数千件の侵害の疑いがあるリンクを報告しているとし、有料の壁の内側に本編を置く使い方は、正規ライセンスで配給するアニメ会社の不利益になるとの立場です。
Remove Your Mediaはアニメ分野の主要な依頼主としてViz MediaとCrunchyrollを挙げています。
ただし両社はThe Vergeにこの関係を認めていません。
YouTubeは権利の所在もフェアユースかどうかも判断しない
YouTubeのポリシー広報マネージャー、Jack Malon氏は、プラットフォームは誰が権利を持っているかも、動画がフェアユースに当たるかどうかも判断しないと説明しました。
YouTubeが動画を削除するのは、有効な形式の削除申請を受け取ったときです。
誤って削除されたと考えるクリエイターは、異議申し立て(カウンター通知)を出せます。
この役割分担は日本のチャンネルにも同じようにかかります。
YouTubeの著作権の手続きは米国著作権法にもとづく削除申請の仕組みに沿って運用されているため、日本語で出した動画でも、申請が有効な形式で届けばいったんは削除されます。
反論したいときは、動画を戻すための異議申し立てに進むことになります。
日本で別の扱いが定められているかは、原文に書かれていません。
有料の壁の内側に本編を置くと、申請は来やすい
今回の申請で問題にされているのは、コメントを付けたかどうかより、本編映像をどこまで出しているかと、それを有料の場所に置いているかです。
Remove Your Mediaは、正規の配給会社が売っている本編を有料の会員向けに流す形を、権利者の損害として捉えています。
Lightさんは別の見方も示しています。
リアクション動画はアニメの無料の宣伝になっていて、とくに日本国外の視聴者になかなか届かない作品ほど効果がある、という立場です。
この主張が認められるかどうかは、今回の騒動では決着していません。
大量の削除申請は、今回が初めてではない
原文は、今回のトラブルが過去の同種の事例を思い起こさせると指摘しています。
音楽チャンネルのLofi Girlが誤った削除申請を受けた件と、配信者のAnneMunitionが無関係な数字に対して奇妙な申し立てを受けた件です。
どちらも、申請が有効な形式で届けば一度は削除され、あとから誤りだと分かるという、今回と同じ流れで起きています。
現時点で対象のチャンネルは公開が続いていますが、次に同じ申請が来たときに自分の動画がどう見られるかは、出す前にだいたい予想できます。
本編映像をどのくらい使っているかと、有料の場所に何を置いているかの2点です。
自分のチャンネルにどう影響するか
リアクション、解説、切り抜きを1本でも出しているなら、今回と同じ申請が自分のチャンネルに来たときの動きを先に決めておくと、失う本数を減らせます。
直近の数本で、本編映像が尺のどれくらいを占めているかを一度測っておくと、申請が来たときにどの動画がなぜ狙われたのかの見当がつきます。
使った映像の出典と、自分のコメントの構成は動画ごとに短いメモで残しておくと、異議申し立て(カウンター通知)を出すときに材料を探さずに済みます。
異議申し立ての期限や書式は原文に書かれていないので、条件はYouTubeのヘルプで確認する必要があります。有料の会員向けに本編映像を出している場合は、置く範囲を決め直す価値があります。
今回の申請元は、有料の壁の内側に本編を置く使い方を問題視しています。
会員向けにはコメント部分だけを置く、といった線引きが先に決まっていれば、申請の理由にされにくくなります。

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