米裁判所がSNS側に厳しい判断 「訴訟の途中で争えない」でプラットフォームの負担が増加
- 米国の控訴裁判所が、SNSの投稿をめぐる訴訟について、これまでより厳しい判断を示しました。
- プラットフォームは、最終的には勝てる裁判でも最後まで戦わないと反論できなくなります。
- 費用を恐れたサービスが、投稿を先回りして削除するようになるとEFFは警告しています。
何が起きたのか
米国の第9巡回区控訴裁判所が8月10日、SNSなどのプラットフォームにとって不利な判断を出しました(EFF)。EFFは、インターネット上の権利を守る活動をしている米国の非営利団体です。
争点になったのは「セクション230」というルールです。ざっくり言うと、ユーザーが投稿した内容について、プラットフォーム側は原則として責任を負わないという米国の決まりです。YouTubeもXも、この上に成り立っています。
これまでとの違い
これまでは、裁判所が「このルールは適用されない」と判断した時点で、プラットフォームはすぐに上の裁判所に訴えられました。
理由は「そもそも裁判に付き合わされること自体がおかしい」という考え方があったからです。最終的に守られるべき相手を、何年も裁判に引っ張り出すのは筋が違う、というわけです。
今回の判断はこれを変えました。裁判を最後まで戦い終えるまで、上に訴えられなくなります。
つまりプラットフォームは、最終的には退けられるはずの訴えでも、長い裁判と高い費用を引き受けることになります。
小さいサービスほど苦しい
EFFがとくに心配しているのは、規模の小さいサービスへの影響です。
長い裁判の費用に耐えられないサービスは、訴えられそうな投稿を先回りして消す方向に動きます。EFFはこれを「先回りの検閲を促す」構造だと指摘し、大企業だけでなく、小さなコミュニティのサービスまで存続が危うくなると警告しています。
自分のチャンネルにどう影響するか
これはプラットフォーム側の裁判の手続きに関する話で、チャンネル運営者が直接訴えられるわけではありません。ただ、回り回って運営環境に効いてきます。
1. 動画が消される基準が厳しくなるかもしれません
裁判の費用リスクが上がれば、プラットフォームは際どい内容を早めに落とす方向に動きやすくなります。
事件や社会問題を扱うチャンネル、企業や商品を批判的に取り上げるチャンネルは、この影響を受けやすい立場です。動画が消えたときに備えて、元の素材と台本を手元に残しておく運用が、これまで以上に大事になります。作り直せるかどうかで、被害の大きさが変わります。
2. YouTube一本足の危うさが上がります
削除やアカウント停止の判断が厳しくなる局面では、他に導線を持っているかどうかで復旧の速さが変わります。
自分のサイト、メールでの連絡先、別のプラットフォーム。どれか一つでも持っていれば、視聴者との縁は切れません。今すぐ全部やる必要はありませんが、「YouTubeが消えたら何も残らない」状態は避けておきたいところです。
3. これは米国の話です
日本には「プロバイダ責任制限法」という別の仕組みがあります。制度が違うので、この判断がそのまま日本に来るわけではありません。
ただしYouTubeは米国の会社なので、運用方針を通じて影響が及ぶ形になります。同じ構図はアニメ解説チャンネルの身元開示でも見られました。
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