YouTube発の縦型トーク番組SubwayTakes、エミー賞ノミネートの裏側
- YouTubeで配信中の縦型トーク番組SubwayTakesが、プライムタイム・エミー賞の短編シリーズ部門にノミネートされました。
- スタジオや大きな資金なしで始めた独立系チャンネルが、伝統的なテレビ業界に認められた前例です。
- 縦型動画やショートコンテンツで勝負したい個人のチャンネル運営者に、番組作りの考え方が参考になります。

縦型動画がエミー賞にノミネートされるまで
YouTubeの公式ブログが2026年8月21日付で公開したインタビュー記事に、ニューヨークの地下鉄を舞台にしたトーク番組「SubwayTakes」のクリエイター、カリーム・ラーマ氏が登場しています。
彼はプロデューサー、コメディアン、詩人など複数の顔を持つ人物です。
この番組は、地下鉄の車内をスタジオ代わりに使い、普通のニューヨーカーやゲストが自分のこだわりの「テイク」を語るというコンセプト。
すべて縦型動画で撮影されています。
そのSubwayTakesが、プライムタイム・エミー賞(米テレビ業界の代表的な賞)の短編シリーズ部門にノミネートされました。
スタジオの支援を受けずにYouTubeだけで始めた番組が、テレビ業界の賞レースに残るのは異例です。
日本のチャンネル運営者にとっても、「縦型動画が単なる切り抜きではなく、作品として評価されうる」という流れを確認できる話です。

「完璧を追わず、今やれることをやる」という考え方
インタビューの中でラーマ氏は、「完璧になるまで待っても答えは出てこない。
今やるべきことをやる」という考え方を繰り返し話しています。
この「do what's right right now」という姿勢が、制作を前に進める原動力になりました。
実際に番組のアイデアは、4年ほど前に「他にやることがない」と自分に言い聞かせてスタートしたものです。
当時はまだ縦型動画を「番組そのもの」として捉える人は少なかったといいます。
氏は「縦型の短い動画も、番組の切り抜きではなく、番組そのものになりうる」と語っています。
この言葉は、ショート動画を「動画の一部」と扱いがちな運営者にとって、発想を逆転させるヒントになります。
スタジオ代わりに地下鉄を使う
SubwayTakesは、なぜ地下鉄で撮影するのでしょうか。
答えは「地下鉄は無料のセットだから」です。
スタジオを借りるお金がない中で、2.90ドルの乗車券だけで撮影場所が確保できる。
限られた予算や制約が、逆に番組の個性を引き出したといいます。
また、初回から機材にこだわったのも特徴です。
ソニーのFX3やゼンハイザーのマイクを複数台使うなど、質を優先した結果、最初から「完成された番組」として見えるようになったそうです。
お金がないからと妥協するのではなく、制約の中で削らない部分を選ぶという判断がうかがえます。
独立系クリエイターとハリウッドの関係
エミー賞ノミネートを受け、ラーマ氏は「ハリウッドがクリエイターを受け入れ始めている」と話しています。
従来は「再生回数が多い人を映画やテレビに起用する」という形が多かったが、実際にうまくいくのは「ストーリーテリングの才能がある人に、別の画面で語らせること」だと述べています。
クリエイターは単なる「数字を持った人材」ではなく、伝えるべき物語を持った人たちである。
そうした見方が業界に広がっている時期だと語っています。
この発言は、海外の大型案件とは無縁の小規模チャンネルにも、「自分の作風や得意な語り口を磨く価値がある」と背中を押す内容です。
自分のチャンネルにどう影響するか
まず確認したいのは、縦型動画を「切り抜き」ではなく「作品」として扱う視点です。
この成功例は、形式が短くても、最初から番組として設計すれば評価されることを示しています。
- 縦型動画でも「1本の番組」として設計する。
冒頭にテーマや出演者のキャラクターを見せるなど、切り抜きとの違いを明確にしておくと、作品として評価されやすくなります。 - 制約を逆に活用する。
ロケ場所や機材にお金をかけられないなら、その場所でしか出せない空気感や「その場限りの会話」を武器にしましょう。
無理にテレビ的な完成度を目指さなくても、独自性が出せます。 - 出演者やゲストの「準備してきた感」を見極める。
何を話したいか明確な人を選ぶと、対談のクオリティは安定します。
番組側が事前にテーマを考えてくる文化を作るのも手です。
この記事の登場人物のように、完璧を求めずに「今できること」から始めるのも一つの戦略です。
予算が少ないほど、発想の制約が個性につながることを覚えておきましょう。
出典
- How SubwayTakes turned vertical video into Emmy-nominated televisionYouTube Official Blog
コメント
まだコメントはありません。最初の1件をどうぞ。