ShortsのRPMが低い本当の理由 「広告主の社内で、誰の予算か決まっていない」
- YouTube Shortsの広告単価は、TikTokやInstagram Reelsと比べて今も低い水準です。
- 理由は動画の中身ではなく、広告を出す会社の中で「Shortsは誰の予算か」が決まっていないことにあります。
- 出稿そのものは伸び始めていて、買い方が固まれば単価が上がる余地は残っています。
単価はこれくらい違います
Shortsを回していて「思ったより稼げないな」と感じている方は多いと思います。米国の広告業界の話を見ると、その原因の一部は動画の中身ではなく、広告を買う側の事情にあることが分かります。
Digidayが8月19日に伝えた広告代理店の幹部の話をまとめると、単価はこうなっています。
- YouTube Shorts … CPM 4〜6ドル
- Instagram Reels / TikTok … CPM 7〜8ドル
CPMというのは、広告が1000回表示されたときに広告主が払う金額のことです。これが安いということは、同じ再生数でも入ってくるお金が少ないということになります。
出稿の量にも差があります。MetaとTikTokで広告予算の6割を占めるような配分のなかで、Shortsは1割ほどにとどまるという見方が出ています。
中身の問題ではありません
ではShortsの動画がつまらないのかというと、そういう話ではありません。Digidayが挙げている理由は、どれも広告主の社内の事情です。
理由1 誰の予算か決まっていない
大きな会社では、広告の予算が部署ごとに分かれています。YouTubeは「動画広告」の担当が持ち、InstagramやTikTokは「SNS」の担当が持つ、という具合です。
Shortsは縦型の短い動画なのでSNSに近いのですが、YouTubeの中にあります。すると「これはうちの予算じゃない」とお互いが思って、誰も買わないことが起きます。
理由2 長い動画の広告に予算が吸われる
YouTubeの営業は、通常の動画の広告枠とShortsの枠をセットで売ることがあります。広告主は「まとめて買った」つもりでも、実際の配信は長い動画のほうに寄ってしまいます。Shortsに回るはずだった分が消えるわけです。
理由3 素材を作り直すのが手間
テレビCM用に作った横型の映像を、そのままShortsに流しても数字は出ません。縦型で、最初の1秒でつかむ作りが必要です。分かっていても、社内で新しく作るのは手間もお金もかかります。結果、既存の素材が使える長い動画のほうに流れます。
伸びてはいます
悪い話ばかりではありません。DigitasのLeah Askew氏は「定期的に成長している」と述べ、TinuitiのBrian Binder氏も「実際に伸び始めている」と話しています。
つまり今は「まだ買い方が固まっていない」段階で、需要がないわけではありません。買う側の体制が整えば、単価が上がる余地はあります。
自分のチャンネルにどう影響するか
この話が効いてくるのは、Shortsをやるかどうか、企業案件をどこに売り込むか、という判断のときです。
1. 単価の低さだけでShortsを切り捨てない
「Shortsは1再生あたりの収入が低いから割に合わない」という判断は、今の単価だけを見た結論になります。安い理由が広告主の社内事情なら、それが解消されたときに単価は上がります。
そのとき、視聴者がゼロの状態から始めるのと、すでに見てくれる人がいる状態で始めるのとでは、伸び方がまったく違います。今は稼ぐ場所ではなく、人を集める場所と割り切って回す、という判断はありえます。
2. 企業案件の売り込み先を間違えない
これは今日から使える話です。縦型動画の企画を会社に持ち込むとき、誰に当てるかで結果が変わります。
テレビCMや動画広告の担当に「YouTubeの縦型動画です」と持っていくと、予算の枠外だからと止まりやすくなります。SNS担当やインフルエンサーマーケティングの担当に当てたほうが、話が進みやすいです。
代理店を通すなら、担当者に「これはSNSの予算ですか、動画の予算ですか」と最初に聞いてしまうのが早いです。
3. 「縦型に作り直せます」は武器になります
広告主が縦型素材を作るのを面倒がっているということは、そこを引き受けられるチャンネルには価値があるということです。横型の素材を渡されて縦型に作り替えられるなら、提案の材料になります。
なお、Digidayの記事は、YouTubeがShortsの収益分配プログラムの参加基準を引き上げていることにも触れています。ただし具体的な条件や時期は書かれていないので、ご自身のチャンネルの条件はYouTube公式のヘルプで確認してください。
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